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マーケティングに失敗した純と愛

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放送作家や脚本家が、過信するとだいたい失敗する。過去の例で言うと「江~姫たちの戦国~」。篤姫の成功で気を良くした田渕久美子が、原作も脚本も自分で書いたら、どうしようもない大河ドラマになってしまった。これによって一番被害を受けたのは上野樹里で、結局彼女はこの作品がひどかったということもあり、あの人は今的な女優になってしまった。彼女は今何をしてるんでしょうか。純と愛も全く同じです。

その二の舞になりそうなのが、純と愛にヒロイン夏菜。彼女は演技力もあるし、かわいいし、女優としてはいいものを持ってると思うのです。本人もせっかく射止めた連続テレビ小説のヒロインということもあるし、頑張ってるという感じはします。

ところが、この純と愛、ストーリーが荒唐無稽過ぎちゃうのです。主人公の純は、思い込みの激しすぎるヒロイン。その思い込みの激しすぎさで周りと全く調和を取ることが出来ない。純粋といえば純粋なのかもしれないけど、まあ、忌み嫌われるタイプだと思う。

そして、その純の良さがわかる愛は、人の本性が見えてしまうので、人の顔が見れないため、どこに行っても仕事が長続きしない人物。しかも、妹も人の本性の匂いがかげちゃうので、常にマスクを着用している。父親はやっぱりなんか変な人物。

とにかく話はおかしいし、出てくる人物は、癖が強すぎちゃって、見てるほうがものすごく疲れるのです。この純と愛の脚本を書いているのが、遊川和彦。彼は家政婦のミタを書いた人で、Wikipediaで調べてみると、GTOや女王の教室といった、基本的に設定がおかしいドラマを書き続けてる人です。そもそもこの世には存在しないであろう人を創りだすのが、遊川和彦の特徴です。

実際に今回の純と愛も、鳴り物入りで遊川和彦が起用されたという話を聞いたことがあるけど、僕はこの人のドラマって全く受け入れられない。家政婦のミタにしても、雇用主が家政婦に私を殺してくれというと、包丁を振り回して刺そうとすること自体、これは何?って思ってみましたが、現実にはありえない。こちらも一種の漫画で、大人の見るコンテンツではない。

そういうストーリーしか描けない遊川和彦が書いた純と愛の視聴率はどうなっているかWikipediaで調べてみると、
1週:19.8%
2週:18.6%
3週:19.4%
4週:18.0%
5週:17.5%
ということで、下がっている。

僕は恐らくこのドラマは平清盛のようにどんどん視聴率が下がっていくと思っているけど、それは誰が見ているかということがこのドラマには欠落しているからだと思うのです。つまり、マーケティングの立場から見ると、ターゲットユーザーを見誤っているということです。

連続テレビ小説を見ているユーザーは誰かといえば、基本的には朝の8時にテレビが見れる人たちであり、恐らく遊川和彦は無視してる。問題作といえば問題作かもしれないけど、この内容だったら朝見るのはうざったいと思うのは僕だけではないと思うわけです。

僕もゲゲゲの女房から連続テレビ小説にはまっていますが、ヒロインのタイプって2つに別れる。一つは運命を見に任せるタイプ。最近ではゲゲゲの女房の布美枝(松下奈緒)、おひさまの陽子(井上真央)、梅ちゃん先生の梅子(堀北真希)。もう一つは、自分で運命を切り開いていくタイプ。これはてっぱんあかり(瀧本美織)、カーネーションの糸子(尾野真千子)。

純と愛の純は後者のタイプで、このタイプはとにかく自分の価値観を他人に押し付けて納得させるタイプで、僕ははっきり言って嫌い。純と愛の場合はドラマの中でも純は嫌われている。そんな嫌われているヒロインが、その一般の我々に受け入れられるわけがない。

もちろん、キャスティングがダメではない。だめなところは副主人公としてジャニーズを起用したところ。安易に視聴率を稼ぐためにジャニーズを使わないでもらいたい。後は愛の上司であった富士子役の吉田羊とか、すごくいいと思うね。あのキリッとしたところは好みです。ちなみに吉田羊はブログを書いてるけど、富士子とは全く違うキャラなのが笑えて、僕は彼女のブログが楽しみです。

純と同期の千香役を演じる黒木華ちゃんのキャラも素晴らしい。おとなしそうな顔をしてるけど、実際は腹の中は相当ねじれているという設定で、平気で男の家に泊まりに行っちゃうようなアンバランスな役を演じていて、とてもいいと思います。

ただ、やっぱりストーリーがだめ。梅ちゃん先生が高視聴率だったのは、堀北真希ちゃんの圧倒的な可愛さというところもあったけど、やっぱりストーリーの中に様々な喜怒哀楽があり、少しロマンスもあって、実際の現実にあるような展開だったし、製作者の記事を読んだけど、演出にも必ず笑いを入れるということをしてたそうです。それと阿部寛が主演した「結婚できない男」の脚本家である尾崎将也が、梅ちゃん先生の脚本を書いていて、つまらないはずがないわけですよ。尾崎さんは変人の描き方が実に上手で、梅ちゃん先生でも松岡さんや山倉さんとか良い感じだった。

純と愛の場合は、とにかく脚本家の遊川和彦がだめ。こんな人を起用したNHKは反省しないといけないと思うよ。僕の周りの人はほとんどがつまらないといってます。