ヤフー・ショッピングの出店費用の無料化について
先日ソフトバンクの孫さんが、今までのYahooは間違っていたとして、ヤフーが運営するショッピングモールヤフー・ショッピングとヤフオクでの出店費用、システム利用料を無償とするとしました。この辺りの決断力はさすが孫さんという感じで、無料化に伴う約10億円の売上減は、広告宣伝費で賄うとしました。
特設ページが解説されていて
http://recommend.yahoo.co.jp/ec/
これも、ワンマン社長である孫さんの鶴の一声で作ったというのはよく分かる。
もともとYahooがダメになったのは、Yahooのサービスを利用するためには有料サービスを展開したということで、ユーザーが離れたということがあります。というのは、インターネットではGoogleという会社がインターネットビジネスでイノベーションを起こしたということが大きいです。
つまり、Googleの場合は精度が高く、従来無料ではありえないサービスを無料にしたということで、ユーザーがこぞってGoogleを利用することで、Yahooが使われなくなったということです。個別のサービスで一番わかり易いのは、メールサービスでYahooはYahooMailとGoogleはGmailがありますが、YahooMailの場合は無料ということもあって、サービスが実に雑。もっとわかりやすく言うと、安かろう悪かろうの代表的なもので、具体的には、迷惑メールのフィルタリングが全くできていない。
ところがGmailの場合は、今やフリーメールの定番になっているけれども、迷惑メールのフィルタリングもしっかりしているし、使い勝手も日々進化している。そういうこともあって、今までのYahooMailやマイクロソフトのHotmailのユーザーは、かなりGmailに移動したと思うね。そこは使い勝手が悪かったら、いくら無料でもユーザーは離れちゃうものなのです。
Googleはこれ以外にも無料でよく出来てるサービスはたくさんあるんだけれども、それはどういう戦略かというと、自社の広告を利用してもらうということだけという実にシンプルなビジネスモデルです。この広告を利用してもらうためには、Googleのサービスを利用してもらうということであり、利用してもらうためにはブランドを上げていくということを十分理解して、サービスを展開いる。
この辺りがGoogleのイノベーションで、
- 無料でサービスを提供する
- そのサービスも使い勝手がいいので、基本的にはヘルプもいらない
- ブランドが上がることで、利用者も増える
これがGoogleのビジネスモデルで、コストはシステムの構築とサーバーの運営・維持、人件費で在庫がないので、恐ろしく高収益。それはものすごい膨大な利用者がいるという大前提です。
で、Yahooはそれをやろうとしている。今までのテナント料と言われる月額の利用料を取らない代わりに、無料なので店舗数を増やし、取扱商品を増やすことで、規模のビジネスを目指そうとしている。実際にインターネットビジネスの場合は、ポイントとして膨大な数が結局質になるという特性があり、Yahooはそれを実践しようとしている。
ここで僕が危惧するのは、
- 無料にすることでヘルプは機能するのか
- 門戸を広げ過ぎたことで、質の低下を招かないか
この2点です。
以前YahooはADSLを拡販するために、モデムを無料で配りまくったことがあり、これによって日本のインターネット回線の低価格で、質の高い高速回線を我々は利用できるようになりましたけど、一方でYahoo!の対応があまりにも酷くて批判されました。
今回のショッピングモールのコストをゼロにするというのはいいけれども、ゼロということはヘルプ無しで利用できるけれども、高品質というのがとても重要な事で、お金をもらってないから、何を聞かれても答えられませんというのであれば、ユーザーの離反を招く可能性はすごく高い。しかも、今は以前と違って、ソーシャルメディアというものがあるから、少しでも変なことをしようものなら、一発で世の中に広まってしまう危険性もある。
もちろん、賢明なYahooのスタッフが考えることだから、そういう点は織り込み済みなんでしょうけれども、量ばかり追求をして、質を追求しないと、今回のYahoo!の決断はある意味諸刃の剣になる可能性はすごく高い感じがします。