2016/06/12
軍師官兵衛が面白くない理由を考えてみた
軍師官兵衛がスタートして4ヶ月になりますが、面白くないのです。時代的にも人物的にも面白く無いはずはないのですがし、僕は何年も前から黒田官兵衛を主人公とした大河ドラマを切望していたので、実際に軍師官兵衛が発表された時は飛び上がるほど嬉しかったのですが、実際には面白くない。そこでどうしてなのか考えてみました。
どうして軍師官兵衛は面白くないのか
せっかく時代背景と言い、天下の主である豊臣秀吉から恐れを抱かせた男であり、その後徳川家康との神経戦と言い、実に日本史的にも歴史的な作戦家であるということからも、ストーリー自体は面白いはずなのに、何故かつまらないのはどうしてなのかということを、ここ数日考えてみました。
まずは、僕が播磨灘物語を愛読書としているということで、播磨灘物語の官兵衛が僕にとってデフォルトになっているという点があり、播磨灘物語の官兵衛と軍師官兵衛での官兵衛はずいぶん違います。どこが違うかといえば、軍師官兵衛の官兵衛は凄く熱血漢です。ドラマの主人公である以上それはしょうがない。主人公がクールな感じだと主人公にはなりきれないでしょうし。
劇画的な演出と役者が時代を理解してないのでは
いちばん問題なのは、劇画的な演出の仕方と、役者がこの時代のことをよく理解して、演技をしていないんじゃないかということが凄く気になるのです。
劇画的な演出と言うのは、いいものと悪者をくっきり区別していて、特にひどいのが宇喜多直家で、大名だからといって、好き勝手に自分の家来を理由もなく殺すことは、どんな悪者でもしませんが、何故か毒殺をしてしまうというシーンがあったし、ひたすら、哄笑するシーンがあったりして、うざい。
また、官兵衛にしても、いつも大きな声ばかりだしていて、そんなコミュニケーションはないと思うのですよ、普通。これは、龍馬伝からずっとこんな感じで、いつも大きな声ばかりで、何やってるんだろうって思うわけです。
最近NHKオンデマンドで「坂の上の雲」を見直しているんですが、主人公がモックンと、阿部寛、香川照之が演じているんですけれども、非常にこの3人緊張感のある演技をしている。当然大きな声を出すシーンはほとんどありません。見ててわかるのですが、相当の坂の上の雲を読み込んでいるのがわかるほど、歴史を知った上で演技をしている印象がすごくあるのです。だから、演技が全く軽くならないし、秋山真之と死にゆく正岡子規の演技を見ていると、涙が出てきちゃうほどです。
ところが、軍師官兵衛に関して言うと、主役の岡田准一とか中谷美紀とかはちゃんと歴史をよく掴んで演技をしているようですが、恐らく台本しか読んでいないのは、
- 柴田恭兵
- 速水もこみち
- 金子ノブアキ
- 春風亭小朝
- 別所哲也
- 陣内孝則
この人達は恐らくこの当時の歴史をよく読んでいないと思うほどの軽々しさです。特に金子ノブアキと陣内孝則はひどくて、見てられない。恐らく日本史のことを知らないと思いますね、きっと。
脚本家も変なところで司馬作品をコピーしている
脚本も書いている人も、恐らく深くこの時代のことを理解してないんじゃないかなという点は結構あって、江口洋介が演じる信長が「良い道具をみつけてきた」というシーンが何回か見られましたが、これはあくまでも司馬遼太郎が自分の作品で信長は人を道具としかみないという記述を真に受けて、江口信長に言わせているだけで、実際にそんなことを歴史的に言ったことはないはずですよ。
NHKもオリジナル脚本で、ずっと失敗続きなわけです。龍馬伝にしても、江~姫たちの戦国~にしても、平清盛にしても。篤姫があれだけ成功したのは、もともとオリジナルの作品として宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」という立派な作品に基づいてシナリオを作ったからこそ、いいものができた。
軍師官兵衛だって、歴史の変なところを司馬さんの受け売りを使わないで、そのまま播磨灘物語を使えばよかったって僕は本当に思うんですよ。この作品は、官兵衛と秀吉の神経戦もあって、凄く描写が面白いのですが、軍師官兵衛は残念ながらそういう内面的なところは全くなくて、とても残念なんですよね。
今後官兵衛には大きなテーマがどんどんやってくる。
- 備中高松城攻め
- 荒木村重による官兵衛幽閉→これによって官兵衛は髪の毛が抜けて、脚を悪くする
- 本能寺の変
- 毛利との講和
- 明智光秀との決戦
- 柴田勝家との戦い
- 徳川家康との戦い
- 豊臣秀吉の天下取り
- 北条攻め
- 秀吉の韓国侵略
- 秀吉の死
- 関ヶ原の合戦
- 徳川家康の天下
と大変な事件が目白押しなんだけど、軍師官兵衛のスタッフたちはこれらをきちんと対応できるんでしょうか。凄く最近心配になってきました。