2016/06/06
司馬作品の最高傑作「坂の上の雲」がKindle本化!僕の夢がかないました^^
僕の読書の夢としては、司馬遼太郎さんの作品を電子書籍でいつでもどこでも読むことが出来るということです。去年いっぱいでほぼその夢は達成されたのですが、唯一「坂の上の雲」が電子書籍化されていなかったのですが、2016年1月1日にKindle本化されて発売されました。めでたい^^
Contents
坂の上の雲とは
坂の上の雲という作品は、司馬遼太郎さん自身が自分の傑作の一つというくらいの傑作で、本人のあとがきを読むと、40代はほぼすべてこの作品を書くことに費やしてしまったということでした。
坂の上の雲をご存知のない方にどういう作品かということをご説明をしておきますと、簡単にいうと、日露戦争の話です。日本が近代化して30数年後に南下してきたロシアと戦い、なんとかギリギリのラインで勝利に導いたストーリーです。
当時の日本は、明治維新を成し遂げてから、37年後に大国ロシアと戦って、勝ったと言うのは正直奇跡に近いことだったと思いますね。当時の日本とロシアの国力があまりにも違いすぎると言うこともあり、当時もどの国も日本が負けると思っていました。この当時の両国に似ているのは、最近で言うと、ベトナム戦争で北ベトナムとアメリカに近い。日露戦争とベトナム戦争は共通しているところは、あります。日露戦争は祖国防衛戦争だったし、ベトナム戦争は祖国解放戦争でした。同じ祖国を守るという点では共通をしています。あとは、敵がこちらを舐めきっているという点でも共通点はあります。
坂の上の雲を読んで僕が知ったこと
坂の上の雲を読んでいると、日本がロシアと戦うために、様々な準備をしたということを司馬遼太郎さんは克明に調べているのです。ここで、僕がこの本を読んで知ったことを書いておくと、
- 陸軍の戦いについては、ほぼ引き分けに近い勝利であったということ
- 海軍は圧勝
- ロシアが内部から崩壊するべくスパイ活動が行われ、これが功を奏したということ
- 貧乏国日本が戦費を引っ張るのに大変な苦労をしたということ
- 勝利のために内政や国政が機能的に動いたということ
などです。特に僕はここで当時の日本を賞賛するべきこととしては、海軍がロシア海軍に圧勝をしたという理由としては、海軍の山本権兵衛がロシア海軍に勝つべく、人材やハードをきちんと揃えて、勝てる体制を整えたということを先ずあげることが出来ます。この山本権兵衛という人は、そう言う手腕が認められて、後に2回総理大臣をしています。つまり、将来の総理大臣となる人物が海軍建設に尽力をしたわけですから、それは強くなると思いますね。
それと、僕はよく調べているなあと思ったのは、いわゆる日本の軍事スパイがロシアを倒すべく、大いに働いたということは、我々ももっと知るべきことなのかなあと思うのです。ここでは、明石元二郎という人が大活躍をします。もちろん、軍事スパイをすることでたくさんの資金があったということもありますが、やはり活動の中心となった人物が、実力がなければ、ロシアに革命の機運は生まれませんから。そういうことはやはりしっかり書かれていて、司馬遼太郎さんはよく調べたなあととても感心してしまうのです。
どうして日本はロシアに勝てたのかー当時の日本は国民に夢を与えていた
また、話は前後しますが、この坂の上の雲の中心人物は、秋山好古・真之兄弟と正岡子規です。前半はこの3人を中心に話は進んでいきますが、途中で正岡子規が死に、秋山好古は陸軍に行き、秋山真之は海軍にいくことで、日本全体が戦争に向かっていくことになります。
この本を読んでみて、日露戦争は、ロシアが負けるべくして負けたという側面が物凄くあると思いました。それは、まずは、ロシア自体が皇帝の専制国家ですから皇帝の発言自体が法律になってしまうので、誰も皇帝に対して意見が出来ない。そうなると、周りに皇帝の機嫌ばかり伺うような人間ばかりが集まってしまうので、力のある人間はどんどん外されていってしまうというところがありました。しかも、自分たちは西洋であるという意識がとても強いので、日本人を完璧に舐めきっているというところが多々見受けられました。実際にロシア皇帝は、戦争が起こるか起こらないかは、自分がそれを欲するか欲さないかによるというような事を言っています。
一方日本はというと、1868年に明治維新を断行して、まだ30年しか経過していないという新しい国家であったということですね。政治の中枢である政治と軍事は、明治維新の勝者である薩摩藩と長州藩が握りましたけれども、それ以外ことに関しては、努力をして優秀であれば、採用するという姿勢がありました。これは、新興国家だからこそ、人材が優秀でなければ、国が成り立たないという危機感が当時の政府の首脳にはあったということもあります。そのいい例は、明治維新で賊軍となった会津藩の山川健次郎が東京帝国大学の総長になったということからも分かりますし、軍首脳部でも、中心となったのは薩摩と長州でしたが、実際には賊軍でも司令官になった人もいましたし、その点人事に対するフレキシビリティが日本には会ったということですね。つまり、人材であれば採用をするということです。それは、この坂の上の雲の主人公になった秋山好古・真之兄弟は松山藩出身ですが、松山藩は譜代大名でしたから、この二人は薩長から見たら賊軍となった藩の出身であるということです。ただ、二人共優秀だったことから、秋山好古は日本の騎兵を一人で育てた人ですし、秋山真之においては、日露戦争では連合艦隊の主任参謀となって、バルチック艦隊を全滅させるための作戦をすべて考えだした人ですから、やはり優秀であったということです。ここで、日本が立派だったのは、江戸時代は身分と階級というものがありましたから、町人はどんなに頑張っても、武士には威張られっぱなしだったし、武士でも、どんなに力があっても偉くはなれないということが普通でした。ところが、明治日本では、頑張れば頑張った分、報われるという体制があったので、誰もが前向きだったということだったと思います。
司馬遼太郎が歴史作家になった理由
司馬遼太郎さんは、第二次世界大戦終戦時に陸軍少尉だったと思うのですが、その時に、自分はどうしてこんな馬鹿な国に生まれてしまっただろうと思ったそうです。軍隊に所属をしていて、軍人が軍隊本位でしかものを考えられなくなっている現状に大変な失望をしたそうです。そんな時に、過去の日本人はどうだったんだろうと振り返った時に、世界に誇れる日本人はたくさんいるから、自分はその人達を紹介していこうと思って、歴史作家になったということを何かの本で読んだことがあります。その司馬さんが、自分で代表作としているのが、この坂の上の雲で、たしかに読み応えがありますし、何よりもとても元気にしてくれる大変な本です。
坂の上の雲がKindle本化 1巻はなんと半額の350円
そんな大名作がついにKindle本化されました。しかも1巻は350円ということですから、興味がある人はこのチャンスを逃さないほうがいいと思います。紙の本だと700円ですから、半額で買うことが出来ます。
Kindleは、一番のおすすめは、WhitePaperです。こちらは少し値段は張りますけれども、プライム会員になれば、4000円引きで変えますし、バックライトがついてるので、真っ暗でも本が読めます。
プライム会員になると、音楽も聴き放題になるし、映画もプライムビデオであれば、無料です。それに、配送料も無料になりますし、時間さえうまく合えば、即日送付してくれますので、お勧めです。もちろん、僕も会員です。
話は坂の上の雲に戻りますが、この本は全8巻ですから、結構読み応えがありますけれども、読み終わったあとに、今まで見えなかったものが見えると思います。僕もこの本に出会ったのは、30年位前ですが、今まで何度も読んでいて、そのたびに新しい発見があります。