2016/06/06
状態のいい時のトミー・ボーリンの演奏が聴ける「Live In California Long Beach Arena 1976」は本当に素晴らしかった件
前から聴きたいと思っていたトミー・ボーリン在籍時のディープ・パープルのライブアルバム「Live In California Long Beach Arena 1976」をゲットしました。このライブは、状態がいい時のトミー・ボーリンのギターが聴けるということでしたが、たしかにそのとおりでした。
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状態の悪いトミー・ボーリンとはどういうことなのか
まず、トミー・ボーリンの状態云々ということをご存知のない人にお話をさせていただきますね。リッチー・ブラックモアがディープ・パープルを脱退して、その後釜としてトミー・ボーリンが加入をして、第4期のディープ・パープルとして来日をしました。その際、トミー・ボーリンは来日前のライブで怪我をしたのかヘロインでボロボロになったか知りませんが、全く右手が動かないでライブをやったので、演奏がボロボロになってしまったんですね。しかも、悪いことにそのライブがアルバム化されて、「Last Concert in Japan」として発売されちゃったんです。アマゾンでも売ってますから、怖いもの見たさのひとはどうぞ^^
YouTubeにもフルアルバムがアップされていますが、たしかにこの時のトミー・ボーリンのプレイはお粗末としかいいようがないです、残念ながら。
ディープ・パープルは、結局この直後解散をしてしまうのです。まー、こういうパフォーマンスを見せてしまうと、さすがにトミー・ボーリンもディープ・パープルにいられなくなってしまうだろうし、他のメンバーもドラッグでやられてしまっているようなひとを、いくら才能があるからといってバンドの中核にしておくわけにはいかないということはあったんだと思います。
そして、この後、トミー・ボーリンは「Private Eyes」というセカンドアルバムを発表して、1976年に25才!の若さで、ドラッグのやり過ぎで亡くなっているのです。僕はリアルタイムでそのニュースを聞きましたけれども、非常にショックだったという記憶があります。高校2年の時です。
状態のいいトミー・ボーリンのライブ音源「Live In California Long Beach Arena 1976」
そのトミー・ボーリンが在籍していたディープ・パープルの、トミー・ボーリンの状態のいい時のライブがあるということは、前から言われていて、そのアルバムが「Live In California Long Beach Arena 1976」です。音源は1976年の1月だそうですから、名盤「Come Taste The Band」を出した後にスタートしたワールドツアーの初期の頃の演奏です。
早速聴いて見て思ったのは、
- やはりライブのトミー・ボーリンのギターが素晴らしい
- ディープパープルならではのセットリスト
- リッチー・ブラックモアの在籍時におけるディープパープルとは別物であるということ
- 音楽的な実権を若い3人が握っているということ
でした。
やはりトミー・ボーリンのギターが素晴らしい
まず、4期のディープ・パープルの来日公演がめためだったので、どんなことになっているのか思って恐る恐る聴いたのですが、トミー・ボーリンのギターは全開で、素晴らしいソリッドなギターを聴くことが出来ます。イメージとしては、トミー・ボーリンのソロアルバム「Teaser」で聴けるトミー・ボーリンのクセのあるトーンです。また、トミー・ボーリンらしい9thのシャカシャカしたカッティングを聴いていると、これ、ディープパープル?と思ってしまうほどです。そういう部分は、どちらかと言うと、ジェフ・ベックに近いとおもいましたね。
ディープ・パープルならではのセットリスト
このアルバムに収録されている曲は、次のとおりです。名曲がずらりとあり、ディープ・パープルならではのセットリストです。
- Burn
- Lady Luck
- Gettin’ Tighter
- Love Child
- Smoke On The Water / Georgia On My Mind
- Lazy
- The Grind
- This Time Around
- Tommy Bolin Solo
- Stormbringer
- Highway Star / Not Fade Away
- Smoke On The Water / Georgia On My Mind (Version 2)
- Going Down
- Highway Star (Version 2
このアルバムで面白かったのは、先にも書きましたが、状態のいい時のトミー・ボーリンのギターを聴くことが出来るということと、2期のディープ・パープルの超名曲「Highway Star」と「Smoke On The Water」を聴くことが出来るということと、なんとトミー・ボーリンのソロアルバムに収録されている「The Grind」が聴けるということです。これらのことって、ライブではめったに聴けないというか、こういうライブを見れるということ自体が実にラッキーだと思うのですが、現実にはこんな貴重な音源があったんだというのは、とても喜ばしいことだと思いました。
リッチー・ブラックモア在籍時のディープ・パープルとは別のバンドである
そしてあたり前のことですが、リッチー・ブラックモアのいたころのディープ・パープルとは全く別物です。特にギタリストが変わるとこんなにバンドが変わるのかというほどサウンドは違っていて、特に顕著なのはファンキーだということですね。トミー・ボーリンはジェフ・ベックに近いギターのカッティングをしているし、グレン・ヒューズもチョッパーとはやってます。リッチーがいたら絶対にありえないサウンドです。
ただ、不思議な事にこのメンバーで2期時代の名曲を演奏してるんですよね。「Highway Star」と「Smoke On The Water」はもとより「Lazy」で演奏している。しかも「Lazy」でのトミー・ボーリンのギタープレイは圧巻で、やっぱりさすがだなあと改めて思ったのです。
バンドの主導権が若い3人に移っている
それとバンドの主導権がジョン・ロードやイアン・ペイスからデヴィッド・カヴァーデイル、グレン・ヒューズ、トミー・ボーリンに移っているということがわかっていて面白い。この時、この3人は25才ですからね。若いし、この若さでこれだけの存在感があるというの素晴らしい。先日来日したホワイトスネイクのデヴィッド・カヴァーデイルは、来日する前からさんざんと声が出ないと言われていましたが、この時はまだまだ若いですから、声もキチンと出てる。グレン・ヒューズのハイトーンのボーカルも健在で、トミー・ボーリンのギターは圧巻としか言いようが無い素晴らしいプレイを聴かせてくれています。
「Live In California Long Beach Arena 1976」を楽しむために聴いておくべき3枚のアルバム
トミー・ボーリンのギターを堪能できる「Live In California Long Beach Arena 1976」を楽しむためには、是非次のアルバムをチェックされるといいです。僕は全部持っていますが、すべてが素晴らしい。
このアルバムで演奏されているトミー・ボーリン「The Grid」はトミー・ボーリンのソロアルバム「 Teaser」に収録されています。かっこいいインストゥルメンタルです。
あとは、Come Taste The Bandは、はずせないですよね、ディープ・パープルの名盤だと思います。
それと、この記事を書くために調べていたら、Come Taste The Band Tシャツ、売ってました。デヴィッド・カヴァーデイル、若かったねえ。このTシャツかっこいいですよね。
トミー・ボーリンの来日公演は本当にひどいものだったのは、未だに語り続けられていますけれども、このライブを聴くと、やはりトミー・ボーリンはすごいギタリストだったんだということを改めて認識をさせられました。