2016/06/09
生まれ変わったら一緒になりたい有働由美子アナの初エッセイ「ウドウロク」を読んでみた
NHKアナウンサーの有働由美子アナが、ご自身のエッセイ「ウドウロク」が出版され、僕も早速読んでみて、ますます彼女のことが好きになりました。本当に知的な人は、こういう人のことを言うと思います。以下レビューです。
Contents
有働由美子アナのこと
有働由美子アナは、最近は「あさイチ」の司会者としてNHKのアナウンサーとしては異様な存在感を示しています。彼女がNHKのアナウンサーとして圧倒的なエースであるということは、彼女が何年も紅白歌合戦の司会をつとめていることからもわかります。
世の中に自分の頭の良さをひけらかす人は結構います。メジャー級でいうと、竹中平蔵、茂木健一郎、勝間和代の類。確かに頭はいいというか、ものすごく勉強はできるんだろうけど、自分たちが思っているほど知的には見えない。恐らく、子どもの頃、勉強ができる事を認めてもらえなかったトラウマをずっと持ち続けているという感じがしますね。
一方で、有働由美子アナは、「あさイチ」でのやりとりなどを見ていると、達観した感じがするけれども、話をしている上での機知に富んだところを見ていると、この人は知的な人に違いないとずっと前から思ってました。僕は彼女がニューヨークに行く前にスポーツキャスターをやっていた時から、結構好きでしたし、この本を読んでますます彼女のことがすきになりました。っていうか、こんな面白い人だったら、一緒になりたいくらい。
そもそもアナウンサーになるということ自体が、すごくハードルが高いと思うのです。それに合格して、曲がりなりにもNHKのエースに成長したという点で、僕は彼女のことを尊敬します。
「ウドウロク」で特に面白かったのは
また、この本を読んで思ったのは、彼女が人間としてものすごくおもしろい、機知に富んだ人柄だということを再認識したんですが、その機知に富んだ人柄になり得たのはどうしてかと言うことが、この本に書かれていて、僕は一気に読んでしまいました。
彼女がある意味選ばれた人であるということは、一般人ではありえない様々な経験をしていることでもわかります。その中で僕が気になったところをリストアップしてみました。
- わき汗の問題
- 結婚式の司会
- NHK紅白の司会を担当した時のプレッシャー
- ニューヨーク不妊
- 最愛のお母さんを亡くしたこと
- 長嶋監督にビフテキをごちそうになったこと
- 二日酔いの朝に読む詩のこと
- 低い声のコンプレックス
こういったことはNHKのアナウンサーでなければ体験できないこともあるし、同じ一般人でも体験することがある。こういう経験を確実に、しかも、いい意味で彼女の糧になっていると僕は思ったんです。
また、この中で僕が特になるほどと思ったのは、
- 紅白の司会
- 最愛のお母さんを亡くしたこと
- 二日酔いの朝に読む詩
- 低い声のコンプレックス
の4点で、このことに関して有働さんがどう語っているのか、引用します。体験談として唸ってしまいます。
紅白の司会
有働さんが司会に決まった年は45年ぶりに総合司会から紅組白組の司会までNHKのアナウンサーが担当することになった年で、NHKのアナウンサーなんだから、カンペ無しですべて暗記で展開するという事になったそうです。
しかも大晦日のイベントなのに、3.5センチほどの台本の読み合わせが25日にあり、その後情報管理ということで台本が取り上げられ、実際に台本を手にれるのは本番の3日前の27日!というNHKはブラックなのか?という状況の中、有働さんは台本の暗記はもちろん、出場歌手の名前を読み間違えないようにとかなどで、プレッシャーにさいなまれるたそうです。
そして大晦日は6時に入り、リハーサルをしていても、途中で直しが入ったりとバタバタやっている内に本番が始まり、本番が終わっても、今度は打ち上げが直後にあり、出演者の慰労会が行われ、NHK側は接待する側になるので、お酌などをしたりと色々と大変だったようです。
その時の打ち上げの写真が本に載ってました。
有働さんも色々なことをやらされすぎ。いじられキャラだけど、ちょっとかわいそうです。この事に関して有働さんがどう書いているかという、最後の最後で
それもこれも、よい思い出である。けれど、やっぱりあえて言うなら、紅白はやるものではなく、見るものである。あれで五歳は老けたもの…。
というもので、どれだけ紅白が大変なイベントかわかります。
最愛のお母さんを亡くしたこと
恐らくこのことを書くにあたっては、有働さん自身の中で逡巡があった感じがありますね。それはあとがきに最後の最後に
もう一人。他界した母への思いは初めて正直に書いた。
中略
骨となったあなたが読めるのかどうかわからないが、一冊、捧げます。
骨となったあなたという表現に有働さんの愛情と感謝の気持ちが詰まっている感じがします。
有働さんはお母さんを癌で失っているのですが、僕の母とかなりかぶるところがあったので、ぐっときました。この部分は、文章を引用するよりも本をそのまま見てもらったほうがリアリティが伝わると思ったので、写真にしました。
「失っては走れないという意味で。母はアキレス腱だった。」という表現は、彼女の頭の良さを示すもので、こんな絶妙な表現を僕は初めて目にしました。
次に有働さんが仕事で煮詰まると、お母さんがいつでも話を聞いてくれて、最後有働さんを優しく肯定する。これで有働さんはよほど救われたと言うことが行間に垣間見れますけれども、この母親の無上の愛情は何なんですかね。僕も子どもの時は怪我や病気で散々心配をかけたし、結婚してからも色々とやんちゃをして心配をかけましたが、一度も否定されたことはなくて、それを思うと僕は涙がこぼれてきてしかたがないのです。同じ思いを有働さんもしていて、僭越ですが彼女の心情はよくわかります。
二日酔いの朝に読む詩のこと
有働さんは社会人になったことで、実用書ばかり読むようになって、感受性が低下してしまったことに罪悪感と恐怖に苛まれていて、それを紛らわせるためにお酒を飲んだりするんだそうです。純粋な人なんだね。で、二日酔いをした朝に茨木のり子の有名な詩「自分の感受性くらい」という詩を読み、かつて自分にもあった感受性を呼び戻そうとしているんだそうです。確かに良い詩なので、ブログでもご紹介しておきます。
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
低い声コンプレックス
この本には有働さん自身のコンプレックスが隅から隅まで書いてあり、痛快なのは彼女がそれを人生の糧にして、彼女自身を豊かにしてると思えるし、それを笑い話にしているところが彼女の懐の深さを感じるわけです。面白いところをひろうと、
わたしだって、声が高くアニメ声だったら、「ちょっと酔ったみたい」ってしなだれかかることもできるのに…。
若いころ、地声で一度試したことがあるのだが、「冗談やめろよ」どころか「うそつくなよ」と言われたことがある。
そういえば、けんかして声をあげて泣いた時に、「鳴き方が怖え」と言われたこともあった。
思い出した。
この文章を読んでも、「しなだれかかる」という美しい日本語を使えるボキャブラリー、素晴らしいし、このエピソードも笑いを取るためにやや脚色していることもあり、サービス精神がものすごく旺盛だということがわかります。
このようにこの本では有働さんの人となりがわかって実に面白い本でした。それも冒頭にも書きましたが、本当の知的な人はこういう人のことを言うということ改めて痛感した次第。最後に、有働さんがニューヨーク時代に知り合ったカメラマンが撮影したというポートも本書に掲載されてましたので、こちらもブログに貼っておきます。僕ぐらいになると、民放で女を売りにしているな中身がスカスカで、自分のトクになることをしか、しないようなアナウンサーよりもずっと有働さんのほうが魅力的。僕も生まれ変わったら、彼女みたいな人と結婚がしたい。きっと楽しそうです。
この本はアマゾンでも大人気になっていて、なんと「カテゴリー あ行の著者」でなんと1位になってまして、Twitterでも結構な人気。彼女は相当な人気者ですね。
『ウドウロク』新潮社(有働由美子 著)。面白かったワ~!! 有働さん最高やわ。ますます好きになった。…って全然感想になってないわね。
— さち (@miyashitasachi) November 9, 2014
#ウドウロク 読了。かなり、好き。私は元々ファンだけど、その理由が彼女の自分を客観視する力のすごさ。私自身も含めそこが甘くなる人が多い中で、しかもたぶん甘くなる職種で、稀有。この本でその能力の源をみたわ〜。個性への解釈も、かなり納得で自分の中のつかえがとれた感じ。40代女子必読。
— RikoYamawaki (@RikosKitchen) November 8, 2014
有働さ〜んウドウロク買ったよ〜ヽ(・∀・)ノ
書店に駆け込んだら最後の一冊だったよ〜(ここで言ってもだな— 凛@ふんばる (@rin_sma) November 6, 2014
読了って
凄く面白い本でした。若い人たちに特にお伝えしたいのは、有働さんも言っているように大事なのは感受性なんです。それはビジネス書や利口ぶっているような人が書いたような本からは絶対に得られない。この本はそういうことを改めて認識させられる、特に機知に富んでいるということがよくわかる。一気に読んでしまいました。