2016/06/09
昨日の軍師官兵衛 最終回「乱世ここに終わる」 ここ数年の大河ドラマの中では出色の出来
昨日はNHK大河ドラマの「軍師官兵衛」の最終回でした。「乱世ここに終わる」というもので、徳川幕府が邪魔になる豊臣家を討滅させたことで乱世が終わったとは思いませんでしたが、それでもここ数年の大河ドラマの中では出色の出来だったと思います。
Contents
ツィッターで軍師官兵衛最終回をチェック
まずはツィッターでの声をチェックしてみました。
主役岡田君について
岡田准一という”役者”は、本当に味のある心を掴む役者だなあとあらためて思った。最初はファンでもなんでもなかったのに、最終回までがっちりとハートを掴まれたまま…だ。 #軍師官兵衛 #岡田准一
— まふぃん (@muffinh2o) December 21, 2014
まさにそうですね。大先輩のもっくんの道を歩んでほしいと思いましたし、黒田官兵衛像を作ったように思います。
やばい…やばい…岡田准一の死演技が上手すぎる! #軍師官兵衛
— りひこ (@rihiko_xx) December 21, 2014
やや厳しい声
幕末好き故に大河はソコソコ視聴し、たくさんの役者さんが演じる姿を拝見しました。おそらく主演の俳優さん方はどなたも"その人物のイメージを掴む"たゆまぬ努力をしてこられたと思います。しかしながらそのキャラクターを自分のものにし演じきった役者さんはそうそういない。ありがと。#軍師官兵衛
— 紅子 (@calm_0505) December 21, 2014
これも確かに言えてる。こちらについては後で言及しますが、時代背景とかをきちんと把握して演技している人は僅かという感じはしました。
録画していた「軍師官兵衛」最終回での石田三成の「天下を争うことができたこと本望にございました」って台詞がなんだかシックリこない。 #軍師官兵衛
— 篠原和也 (@kazuyashinohara) December 21, 2014
僕もそう思った。脚本的には大事なところで変な創作をするところはありました。
2010年に黒田官兵衛を大河ドラマにしてほしいとお願いしてました
厳しい意見があるにしても、ここ数年の大河ドラマの中では「軍師官兵衛」は良く出来ていると思いました。まず、僕としても以前から黒田官兵衛は大河ドラマの主役足りえると思っていまして、このブログでも随分前から提案をしていました。
この時は官兵衛を、瑛太くんか水嶋ヒロくんがいいんじゃないかと言ってますが、今でもこの二人は知的な雰囲気もあるし、いいと思います。
今回は岡田准一くんが、官兵衛を見事に演じきって、素晴らしいドラマになったと思います。僕は黒田官兵衛はもっと早い時期に大河ドラマになるべき人だったと思います。
黒田官兵衛のことを書いた本は、司馬遼太郎さんの「播磨灘物語」が有名ですし、作品としても凄く良く出来ている。
ただ、それ以前にも色々な人が取り上げていて、そのあたりを制作する側が軽視していたところがあるような気がします。
坂口安吾や吉川英治も官兵衛のことを書いてます。
これだけ歴史的にも力のある人物であるにもかかわらず、制作側が官兵衛に対して無知であったということや、官兵衛を取り巻く人物、具体的に言えば織田信長、豊臣秀吉、徳川家康がいたし、それ以外にも武田信玄、上杉謙信、伊達政宗、毛利輝元など、数えたら切りがないくらいすごい人たちが出た時代であるということも、彼を無名にしたんだと思います。
過去に官兵衛を演じた役者たち
ちなみにウィキペディアで黒田官兵衛を演じた役者をチェックしてみると、
黒田孝高が登場するテレビドラマ
- 『太閤記』(1965年、NHK大河ドラマ) 田村高廣
- 『国盗り物語』(1973年、NHK大河ドラマ) 江守徹
- 『新書太閤記』(1973年、NET)垂水悟郎
- 『黄金の日日』(1978年、NHK大河ドラマ) 島田三郎→勝部演之
- 『おんな太閤記』(1981年、NHK大河ドラマ) 菅野忠彦
- 『徳川家康』(1983年、NHK大河ドラマ) 入川保則
- 『豊臣秀吉 天下を獲る!』(1995年、テレビ東京12時間超ワイドドラマ)白竜
- 『秀吉』(1996年、NHK大河ドラマ) 伊武雅刀
- 『太閤記 サルと呼ばれた男』(2003年、フジテレビ)石黒賢
- 『功名が辻』(2006年、NHK大河ドラマ) 斉藤洋介
- 『江〜姫たちの戦国〜』(2011年、NHK大河ドラマ) 柴俊夫
江守徹が黒田官兵衛と言うのは意外。見てて、申し訳ないと思うのですが、半分ほど知らない。制作側が歴史を知らないと言われても仕方がない。
その点、今回のNHKはこれだけ地味な存在であった黒田官兵衛を取り上げて、秀吉の天下を取る上でもっとも重要な役割をして、さらにその若い晩年において、真剣に天下取りをしようとしたことを取り上げたというのは素晴らしかったですし、黒田官兵衛ファンとしては嬉しかったです。
最終回でもっとも重要なシーンは
昨日の最終回で一番大事なシーンは、黒田官兵衛が率いる黒田軍が九州を席巻していて、この軍勢で関ヶ原の勝者と雌雄を決する勢いだったところ、1日で勝負が決まってしまって、官兵衛を演じる岡田くんが壮絶な笑みをこぼして、台をひっくり返すところでした。
この辺りはどういう演じ方をするのかと僕は楽しみにしていまして、それは「播磨灘物語(4)」の「如水」の項で司馬さんが実に素晴らしい筆力で表現をしているのです。僕の時に好きなところですので、引用をします。
如水は東西に駆け、南北を走るうちに、彼の予想をくつがえす事態がおこった。
「…九月十五日、美濃関ヶ原において」
という報であった。東西三十万近い軍勢が決戦して石田方は敗北した、という。
中略
如水はこのとき、(略)陣中でこの報をきいたとき、不快とも何とも、名状しがたい表情をし、しばらくはだまっていた。
(了ったか)
という想いであったろう。如水は中央における東西の激突が美濃関ヶ原においてわずか一日で終了するとは思ってもいなかった。
(略)
如水は、その天才的な才幹を秀吉という他人の運命を画布にして描いてきた。一種の芸術的欲求をそれで充足しえたということで如水は官兵衛の昔から十分吹っ切れていはいたが、しかしそれを、かれの晩年に、自分自身をかけることで使ってみようとした。だが、無駄働きに了った。
(そういうものだ)
というあきらめのよさは、如水においては、うそのようにみごとであった。
この辺りの描写が甘かった感じはするし、天下取りをしようというシーンの時間が短かった。1ヶ月ほどかけても良かったと思います。
軍師官兵衛キャストを独断と偏見で採点
キャスト的にはどうだったかということを僕の独断で採点をすると、
豊臣家
評価A
淀殿:二階堂ふみ
新しい淀殿像を構築した。さすがという感じでした。
評価B
石田三成:田中圭
意地悪な三成を好演した。
増田長盛:有薗芳記
気の弱い増田長盛を上手に演じた
評価C
豊臣秀吉:竹中直人
演技が過剰
ねね:黒木瞳
役者として難しい
蜂須賀小六:ピエール瀧
可も不可もなし
評価D
必然的なキャストではなかった
マグダレナ:石野真子
豊臣秀長:高島典俊
豊臣秀次:中村明慶
評価E
恐らく歴史的なことも全く知らずに演技をしていたと思われる。
小西行長:忍成修吾
福島正則:石黒英雄
加藤清正:阿部進之介
黒田家
評価A
黒田官兵衛:岡田准一
今までマイナーだった黒田官兵衛を見事に演じた。
栗田善助:濱田岳
筆頭家老を十二分に演じた。
井上九郎右衛門:高橋一生
演技力が光った。
評価B
光:中谷美紀
さすがという感じで、良い奥方。
糸:高畑充希
小悪魔的なところが良かった。
栄:吉本実憂
必然的なキャストではなかったが、かわいい(笑)
お福:阿知波悟美
侍女としていい味を出していた。初めて見る役者さんでしたが、ウィキペディアでチェックすると色々な作品出ている方なんですね。
お道:福島リラ
役と実際が全く合ってないところが、逆に良かった。
評価C
後藤又兵衛:塚本高史
無骨さが足りない。
評価D
必然的なキャストではなかった
黒田長政:松坂桃李
評価E
恐らく歴史的なことも全く知らずに演技をしていたと思われる。
母里太兵衛:速水もこみち
それ以外のキャストもあるのですが、特に良かったのは、宇都宮鎮房を演じた村田雄浩と荒木村重を演じた田中哲司。さすがベテランと言う感じでさすがという感じでした。
軍師官兵衛について
軍師官兵衛については、個人的に言うと播磨灘物語を再現するべきだったと想いますけれども、ここ数年の大河ドラマがあまりにも内容的にも低迷していたので、それらと比べるとずっと良かったです。それは時代が戦国時代であったということもあり、黒田官兵衛自身が歴史的に実は大きな足跡を残したという事実があったからだと思います。
歴史上の人物でマイナーだった人の中で、大別すると、実は大きな仕事をしていたけれども、メインになる人が派手すぎてその人の陰に回ってしまったというタイプと、実際に歴史的に大したことをしなかったタイプに分けられると思うのですが、官兵衛の場合はまさしく前者で、すごい人が現れすぎたという感じでして、これは幕末にも言えることですね。
いずれにせよ、軍師官兵衛はおもしろかったです^^