2015/09/210 Shares

相変わらず迷走を続けるソニー 10万円ウォークマンNW-ZX2発売に思う

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ソニーが10万円を超えるウォークマン「NW-ZX2」を発売して、話題を集めてます。それは、さすがに音楽プレーヤーで10万円の価格と言うのは、どういうことを比較して設定したのか、非常に疑問をもたざるを得ないのです。

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NW-ZX2特別サイトの説明文が意味不明

この特別サイトでどういう説明がされているかというと、
NW-ZX2 | ポータブルオーディオプレーヤー ウォークマン | ソニー

ウォークマンNW-ZX2

 

音域再生におけるノイズ除去性能を高めた、ハイレゾ音源対応のフルデジタルアンプ「S-Master HX」を搭載し、繊細な空気感や臨場感あふれるきめ細かなサウンドを体感できます。また、MP3などの圧縮音源やCD音源をハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングする「DSEE HX」を搭載。DSD対応性能についても強化し、DSD64(2.8MHz)に加え、DSD128(5.6MHz)の再生に対応しています。NW-ZX2は、ハイレゾ対応プレーヤーとして、そしてウォークマンのフラッグシップモデルとして、お持ちの音源を存分に楽しむための高音質を徹底的に追求しました。

素人が見ると、まず、何を言ってるのかわからない。要は高音質ですよ、音がいいですよと言ってることくらいはさすがに僕でもわかります。

確かにいい音へのニーズはある

ソニーのやりたいことはわかるのです。いいモノを作る。いいモノが欲しいというニーズは間違いなくある。僕がこの数カ月でイヤホンとヘッドホンを3つ購入しました。特にBeats製品には僕なりにこだわりまして、量販店には申し訳ないのですが、何度も通って、僕のiPhoneにつなげてみて、どういう音を聴くことができるのかということをチェックして、自分の好きな音を聴かせてくれるヘッドホンを決めました。イヤホンも同様で、常に価格をチェックしながら、視聴できる量販店でチェクをして購入しました。金額的には、ヘッドホンが3万円弱、イヤホンが1万6千円。この出費に対して、高いなと思ったことはありませんし、価格以上のモノを買うことができると思いました。

それは僕がどういう音楽をどういう音で聞きたかったかというと、このブログでも何度も来ましたが、圧倒的な演奏やボーカルを重低音が効いた音で聞いてみたいというものでした。具体的にはドリーム・シアターの「Breaking the Fourth Wall」という、僕にとっては歴史的なライブアルバムで、これを音の洪水をかぶるような感覚で聴きたいというニーズがありました。このBeatsのヘッドホンとイヤホンは見事に僕のニーズをクリアしてくれました。

ハイレゾへの啓蒙が甘い

ソニーはハイレゾって何?というサイトを立ち上げていて、僕ははっきり言ってこの程度であれば全く啓蒙が足りないと思いますが、ないよりはマシです。これをみるとハイレゾというのがどういうものかわかりますが、

はじめてのハイレゾ

はじめてのハイレゾ

このサイトの中には、普通に圧縮した音とハイレゾの音源が用意してあるのですが、はっきり言って僕にはわかりませんでした。ただ、そのために音楽を再生するだけの小さい端末に10万円を払うんだろうかと僕は思うのです。

マッサンとソニーが酷似している

これを見て思ったのが、今放映しているNHK朝ドラのマッサン。主人公のマッサンは、自分が考えるスコッチウイスキーを作ろうと思って、勤務していた鴨居商店をやめ、北海道まで来て、ウィスキーの醸造をするためにまずは北海道のりんごジュースを売って、売れたお金でウィスキービジネスをやろうとしているのです。

ところが、売りに出したりんごジュースは売れない。日本一おいしい北海道の余市のりんごジュースが売れずに、出資した投資家に凄く怒られます。こんな高いもの売れるのか?と。マッサンは元々このジュースを作るのにコストがかかっているので、安くは出来ないと言いはり、さらには高額であるのであれば、そのニーズを解消できる流通に全く営業をしないで、一般人に売りつけようとしたところに、りんごジュースが売れないということになってしまったわけで、これはマッサンが技術者としての情熱があっても、マーケティングに対して全くむとんちゃくだったと言わざるを得ないのです。

マーケティングを無視してるようなソニー

ソニーのこのウォークマンもそうです。この高額ウォークマンを見て思ったことを列挙すると、

  • 10万以上するウォークマンはどういう人達が欲しいのか
  • 売り切りの商売は古いのではないか
  • 価格に戦略性が感じられない
  • そもそもハイレゾに何万も出す価値があるのか

特に大事なのは価格の戦略性で、恐らくいろいろなコストを積算して、それに儲けをプラスして価格が決まったんでしょうけれども、今はバブルじゃないし、消費税によってなんだかんだ言って消費が落ち込んでいるわけですから、10万円を払ってもこれは安い、いい買い物ができるんだ!という期待感がなければ手に出さないと思うんですよね。

プライシングと言うのはすごく重要で、価格に戦略性がないとユーザーからの支持は得られませんし、時代の趨勢は、長期的にユーザーとの関係を構築することで、そこから収益を得るというビジネスが一番ユーザーのニーズに適合をしているのですが、そのあたりはソニーは全く考えてないような気がします。モノはいいんだからということなんだと思いますね。

携帯キャリアやGoogleのビジネス手法

長期的にユーザーとの関係を構築した上での収益とはどういうことかというと、例えば最新の携帯電話を入手しようとした時に、今は自己資金0円でできます。自己資金0ですから、だれでも手に入るし、ユーザーがその電話を持っているだけで、利用料が課金されて、余程のことがない限りユーザーは解約はせず、企業も確実に収益が得られるわけです。

また、最近GoogleのChrome ノートが個人向けにも販売されるようになりましたが、これだって3万円ちょっとのノート型のパソコンです。しかもWindowsよりも起動が早いよ!というもので、インターネットを楽しむのであれば、この程度の端末で全く問題がないのです。恐らくこのハードが売れてもGoogleへの収入は微々たるものだと思います。Googleにとって重要なのは、この端末を使ってGoogleで検索さえしてくれれば、いいんです。そこで広告が表示されれば、1,000〜2,000回に1回クリックしてくれれば全体で何千億の売上があがるわけです。

ソニーだってプレステで同じような事をしていた

ソニーもそういうところが本当にセンスがないんですよね。ソニーが最も調子が良かった時にプレイステーションが、ものすごく高性能なゲーム機だけど、2万円ちょっとで買えちゃう。ソニーもゲームで儲けようとせずに、ソフトが売れればそれでも受けるから、まずはプレイステーションを所有してもうという戦略があったんです。ところが、ここ10年近くは、普通のメーカーと同じことをやってる。スマホでも同じです。

ちなみにこの「NW-ZX2」について、ユーザーの声を拾ってみると、結構厳しい。

もちろん、欲しい!という人もいます。

はっきり言ってニーズはないような気がします。Androidだから、Google Playのアプリとか使えるよ−ということなんでしょうけど、メインは音楽を聴くということでしょう。それに10万円も超えるものにはお金出せません。Google Playだったら、それこそアマゾンのキンドルファイアを買います。

ソニーのいけないところは、ハイレゾというものに対する我々への啓蒙が不足していることだと思いますね。ハイレゾだとこんなに音がいいけど、そうするためにどれだけコストがかかっているから、結果的にこのハードの価格は10万円以上するんだよ!という事を納得させないと。

モノがいいんだから、それ相応の対価を払わんかいというやり方は、僕なんかはすごく違和感を感じますね。それこそいイヤホンやヘッドホンを買って、それでいい音だ!と喜んでいる僕みたいな音楽ファンに、ハイレゾにすれば、もっといい音が聴ける。そもそもいい音と言うのは何?ということまで突き詰めないと、やはり一般的なユーザーからは支持されないんじゃないかと思いますよ。