返済猶予法案衆院通過
中小企業金融円滑化法案が今日の未明に与党と共産党などの賛成対数で可決しました。ここで旧野党である自民党と公明党は、国会を退出。この前まで民主党をやっていたことを、自民党と公明党が同じことをした。
この件に関しては自民党の大島幹事長のコメントは、数を頼みにして強行採決をするということは、憲政の歴史を汚すものだと、政府を批判しました。これはちょっと待ってという感じで、同じことを今までずっとやってきたのはあなたたちじゃないの?という印象です。
日本のマスコミはこの件でどういうことを書いているかというと、
民主、審議2日で強行採決 返済猶予法案、不慣れな攻防
日本経済新聞
金融円滑化法案:強行採決 「献金隠し」と自民反発 打つ手なく無力感も
毎日新聞
与党、郵政法案など委員会採決へ=自公は欠席、対立激化
時事通信
この法案については、与野党ともに亀井大臣(ウェブサイト、最高です)に振り回されているという感じがしていて、この人は警察官僚でありながら、相当グレーゾーンのある人ですが、一方で長い政治生活を送ってきて、この人と渡り合える政治家が自民党では、せいぜい森さんと青木さんくらい。相当な政治力のある人なので、自民党はやりこめないでしょうね。
昨日の強行採決で、カッコよかったのが共産党。
やり方には問題はあるけれども、法案には賛成であるという大人の対応をしました。僕はこの共産党の対応は評価するべきで、審議時間が短いということで反発した自民党と公明党は議論もしないで国会を退場するのは、それこそ往年の野党であった民主党のやり方を踏襲しているわけで、同じことを今回した自民党と公明党は、与党を批判する資格はありません。
ちなみにこの返済猶予法案、正式名称は「中小企業金融円滑化法案」といいますが、当初、亀井大臣は、借金をチャラにするというような感じで大風呂敷を広げていましたが、実際には2011年までの時限措置であり、債務者がその申し出を受けた場合に金融機関が、金融機関の判断によるものというところがみそです。つまり、銀行がそれはだめだと言っても、法律違反にはならないということになるわけで、考え方によっては実質骨抜きになっているのかなという印象があります。
というのは、繰り返しになるけれども、この法案におけるポイントは、申し出があった場合にはそれに応じるように努めるという努力目標を促しているわけで、努力をしなかった場合には、罰則規定がないというところです。ということは、うちの会社みたいにやばいぞと金融機関に判断された場合には、猶予してくれないというところで、このあたりはもう少し注視していかないといけない。
一方である番組のコメンテーターが、住宅ローンに関してコメントをしてましたが、住宅ローンが破綻をしてしまうのは、
・収入が減ってしまった
・物件の担保価値がなくなったので、任意売却もできないし、債務も残る
この2点ですが、金融機関は貸したお金を耳をそろえて返せということになるわけです。つまり4000万円をマンションを買うために借りても、今の担保価値が2000万でも、銀行は残ってる借金を返せというわけですが、このコメンテーターは、当時そういう担保価値があると判断して融資をしたわけだから、その責任を取るべきだと。確かに僕もそう思う。ただ、サブプライムはこれをやって金融機関が破綻してしまったというところもあり、解釈論は難しい。
このあたりはコロンブスの卵のようになってしまうので、難しいところですが、今の不景気は未曽有であり、重大な政治判断が求められると思う。