竜馬伝
天地人もやっと終わったという感じで、最終回も何かふわっと終わった感じでして、妻夫木君演じる直江兼続も、なんかいつもニヤニヤしていて、面白くなかったです。
直江の真骨頂は、家康と対立をして対峙するというところと、石田三成が関ヶ原の合戦で敗れて、家康に明らかに敵対をした上杉家を徳川政権下で存続させたかということだと思うのですが、その部分がしっかりやればよかったということと、キャスティングが陳腐なので演じ切れなかったということもありますね。
小澤征悦という役者さんは、個人的にあまり好きな役者さんではなかったのですが、篤姫で彼は西郷隆盛の役を演じていて、これがもう僕にとっては、これほど西郷さんを演じ切った人はいないんじゃないかというくらい、もう本当に素晴らしくて、僕の中ではものすごく評価があがったんだけれども、天地人の場合はアイドル系の人が多く出演していて、忙しすぎるということもあって役者本人がその役に没頭できなかったんじゃないかなと思うんですよね。篤姫を演じた宮崎あおいちゃんは、インタビューで篤姫を演じている時に篤姫が自分の中に入ってくる感覚があったと言ってましたが、これぞ役者魂という感じです。
それで来年から「竜馬伝」が始まります。このドラマは、岩崎弥太郎の視線で竜馬を見つめていくという。この岩崎弥太郎は、香川照之さんが演じます。凄くいいと思う。
岩崎弥太郎という人は、竜馬と同じ土佐藩出身で土佐藩内でも身分の低い人ではありますが、幕末という激動の時期で最後は土佐でもそこそこの身分となり、海援隊の会計係となって、今の三菱を創業する人です。人相悪いですよ、この人
。今の三菱のスマートさとは相当かけ離れている。ちなみに三菱のスリーダイヤのマークは、土佐藩の土佐柏という藩章からとられたものです。
坂本竜馬というと、幕末の言わずと知れたヒーローで、知らない人はいないと思いますが、彼の生涯での大きな仕事は僕の中では3つあります。ひとつは犬猿の仲だった薩摩藩と長州藩を結びつけた薩長連合の樹立、幕府から政権を朝廷に移した大政奉還の立案、それと大政奉還最大の功労者でありながら、新政府に入らなかった潔さです。
坂本竜馬が、藩というものをとらわれずに日本全体を考えて行動ができたのは、まず土佐藩内では身分が低かったから、藩への忠誠心が低かったということと、勝海舟と出会い世界観が広がったことと、海援隊を中心にして輸出入の商売を志したことだと思います。司馬さんは、名作「竜馬がゆく」では、竜馬は海援隊で商売をしたいがために幕府を倒したと言っていますが、この部分では逸話があり、大政奉還が決まった後、今後どうするということになり、薩摩藩邸で坂本は、西郷隆盛や小松帯刀などと今後の人事案を提案します。その人事案には坂本が入っておらず、西郷がいぶかしげに貴殿は入っていないけれども、これはどういうことかと問うと、坂本は政治には興味はない。自分は世界の海援隊でもやりましょうと言います。それに対してはさすがの西郷さんも二の句が継げず、また、坂本の秘書のような役割をしていた陸奥宗光はこの坂本の発言を生涯語ったと言います。ちなみにこの陸奥は後年日本の外務大臣となりますが、明治維新以降彼の右に出る外務大臣は、小村寿太郎くらいで、名外務大臣として足跡を残しているんですよ。その後坂本は、京都で暗殺され、海援隊の事業は結果的に岩崎弥太郎が引き継ぎ、世界の三菱となっていきます。
で、この「竜馬伝」のキャスティングを見ていたのですが、竜馬を福山雅治が演じるけど、うーん、ちょっといい男過ぎるという感じ。もっと泥臭くて野暮ったいけど可愛げがあるというのが竜馬のイメージなので、福山さんにはぜひ新しい竜馬像を見せてほしい。西郷さん役を高橋克実。これは高橋さん、きつそうだな。西郷さんのキャラは強烈だし、大きいですからね。どうなんでしょうか。
この竜馬という人は、可愛げがあるということから、ものすごく女の人にもてたそうです。彼の妻となるお龍を真木よう子、竜馬が居候をする千葉道場の娘、さな子を貫地谷しほり、土佐藩の上司で、竜馬のあこがれの女性である平井加尾を広末涼子が演じていて、これはいい感じ。特にお龍は、小悪魔的でかつ悪女というところなので、真木よう子ちゃんはいいと思うね。
このドラマを何倍も楽しむためには、最初に知識として持っておいた方がいいと思うので、この2冊を紹介。いずれも名著です。
小学館
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