使いやすさということ
インターネットがインフラ化することで、一番顕著なのは優れたコンテンツがごく自然に無料で提供されていることです。例えば、新聞などは紙面とほぼ同じような記事を読むことが出来るし、Googleが提供するサービスは、ほとんどが無料で使える。
一方で音楽はCDで買うことよりもダンロードで買うことが主流になった。特にアップルのiTunesStoreでは100円ちょっとで買うことができる。今から考えると、僕は音楽が好きだから、中学生くらいからレコード、CDを買ってきたけれども、日本版は買わずにだいたい輸入盤を買っていた。日本盤で買えば2500円するものが、輸入盤であれば1500円ちょっとで買えますから。これは30年近く前の話です。そう考えると、音楽もずいぶん買いやすくなったなと感慨に浸ってしまう。
ところでアメリカのニューヨーク・タイムズがウェブサイトでの記事の有料化を進めるらしい。また、マードック氏もそういう意向でいて、マードック氏に関して言うと、自社のコンテンツをGoogleには提供しないと言明している。
新聞以外のマスコミは、基本的には提供するコンテンツは昔から無料です。テレビにしてもラジオにしても無料で提供している。一方で新聞だけは有料で、それを我々は当たり前のようにお金を支払ってきたし、世間でも新聞社というのは他のマスコミとは別格という存在と見ている傾向はあり。。しかも新聞は有料であるし、また、広告も当然掲載している。ちなみに新聞広告は、全面広告にすると大変な金額だ。
ウェブサイトを展開して行く上でとても重要なのは、使いやすさということに行き着きます。無料だから使いにくくてもいいという発想は、逆にブランディングを下げるだけです。日経BPの記事で多いのは、この後の記事を読みたい場合は、ユーザー登録をしてくださいというのが結構あります。僕はよほど読みたい記事でなければ、IDやパスワードは入力しません。面倒だからね。この面倒くさいというのは、とてもブランドを下げるのには大きな影響力があって、できるだけ安全に早く、しかも、自分の欲しい情報に行き着くというのが、ウェブサイトではとても重要なことなのです。
もう一度新聞の有料化ということに戻ると、結局不景気ということもあり、新聞の広告の売上というものが落ち込んでいるという環境があります。そこで記者が足を使って記事を書いているわけだから、大事な情報には課金をしようという流れになっているんだけれども、これはやっぱり知恵を働かせてないなというのが僕の率直な感想だし、インターネットビジネスのことがやはりそれほどわかってないんじゃないかなと僕は思います。
もちろん、無料じゃないとダメっていうわけではないですけれども、例えばアップルは音楽を販売している会社でもありますが、音楽は買うものだという商品としての性質があるにしても、安いだけでiTunesに音楽を買いに来るわけではないです。それはiTunesというソフトウェアの使い勝手がいいというのと、大量の音楽が用意されているということに行き着くと思います。ま、ソニーなんかは、自社の製品を販売するために、系列会社のアーティストは提供しないという暴挙を行っているけれども、これはこれでソニーが結果的にブランディングを下げているということを良くわかっていない
サービスを無料にするということは、当たり前の事ですが、多くの人向けに何かしらのアクションをしてもらうために敷居を下げるというというか、利用してもらおうということのための手段に過ぎないので、じゃあ、多くの人が集まるから、どうしたらいいのかということがビジネスの生まれる土壌になるわけで、新聞社が広告の売上が上がらないから、有料化というのは、あまりにも安易です。実際に新聞のサイトを良く見ると、広告は沢山はってます。バナーからGoogle Adsenseまで。ちなみにこのブログにもAdsenseをはってますけど、どなたもクリックしてくれませんw
しかも、デジタルというものは、コピーがしやすい。例えばAというオリジナルのファイルがあったとして、それのコピーのそのまたコピーでも、元のファイルと比べると劣化するということはないです。昔、紙をコピーして、さらにコピーをしてさらにさらにコピーすると、文字が判別しなくなることがあったけれども、デジタルではそういうことはなくて、結果的にコストも大幅にダウンするようになった。そうなると、データー化出来るものはどんどんコストが下がっていき、そのことで多くの人が利用がしやすくなるわけで、そのあたりに大きなチャンスがあるというのは、フリーにも書いてあった。
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 小林弘人 日本放送出版協会 2009-11-21 |
ちなみにこの新聞の有料化ということについては、Tech Waveの湯川編集長が
ニューヨーク・タイムズ、いよいよ有料化へ。絶対失敗するだろうけど
という記事で以下のように言及している。僕はすべてがそうだとは思わないけど、僕もこれは違う収益源を考えないときっと上手くいかないと思う。
で、なぜ僕が新聞の有料化が失敗すると思うのかというと、時代の流れをまったく無視しているから。ほかのネット上のサービスはテクノロジーを使ってものすごいスピードでその価値を高めているのに、新聞は何の改良も加えずにただ読みづらくしようとしている。読むのに手間をかけようとしている。そんなの受け入れられるはずがない
このデジタル化の流れについては、アマゾンがキンドルにかなり力を入れてきているように、今年は恐らくデジタル書籍元年の幕開けになると思う。そうなると本も当然価格は下がる。紙代がいらなくなるわけですからね。それに一度に多くの本を携帯できて、しかも検索出来るというのであれば、調べ物にはもう最適だと思うのです。こちらについては、国内の大手出版社がデジタル化に向けて早速動き出した。
出版大手21社が新法人 電子書籍化取り組み強める
http://www.j-cast.com/2010/01/14057866.html
デジタルの発達で、ますます合理化が進んで行くわけで、今までのやり方をそのまま続けてもこれはマーケットから追い出されてしまう。(言い訳ではありませんが、何も新しいものがすべて正しいと言っているわけではありませんよ。ただ、時代の流れに抵抗しても、それは吹き飛ばされるよということを僕は言いたかっただけです。)