ジェフ・ベックの「Blow By Blow」はギターミュージックのまさに挑戦だった件
ジェフ・ベックがボーカリストとしての活動をやめて、ギターだけで自分の音楽を表現していくということを宣言したとも言えるアルバム、ブロウ・バイ・ブロウ。全曲インストゥルメンタルということで当時はとても珍しい作品ですが、音楽的にも曲自体が良く、僕的にはジェフ・ベックの最高傑作だと思います。
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Jeff Beck「Blow By Blow」
当時、まことしやかに言われたことは、ジェフ・ベックはボーカリストとしての音楽活動には飽きたために、ギターで自分を表現するんだというものでした。確かにこのアルバムを聞く限りは、実に挑戦的で、エキセントリックギタープレイを聞くことが出来ます。
まずは曲目リストです。
- You Know What I Mean
- She’s A Woman
- Constipated Duck
- AIR Blower
- Scatterbrain
- Cause We’ve Ended As Lovers
- Thelonious
- Freeway Jam
- Diamond Dust
YouTubeにフルアルバムがアップされていれていたので、ご紹介をします。
このアルバムの中には、ジェフ・ベックの代表曲になる、「Scatterbrain」や「Cause We’ve Ended As Lovers」が収録されています。特に「Cause We’ve Ended As Lovers」は、スティービー・ワンダーが作曲に関わった名曲で、ジェフ・ベックのギタリストとしての表現力というものが遺憾なく発揮されている歴史的な名演じゃないかと思います。
ボーカリストととの決別を宣言したアルバム
このアルバムがロック史上特異な存在なのは、ジェフ・ベックがボーカリストとの行動を一切やめて、ギターを弾くということだけに専念したという点です。つまり、ロックにとってはやはりボーカルの存在は実に大きいわけで、表現力という点から見るとどの楽器も人間の声には勝てません。
そこを敢えてボーカルとの活動を一切やめて、ギターインストゥルメンタルだけのアルバムを発表したのは、いかにもジェフ・ベックらしいチャレンジャー精神ということが出来ます。当時は驚きを持ってこのアルバムが紹介をされていました。
一方でジェフ・ベックが作る音楽が、ロックという音楽のカテゴリーに含まれるのかどうかというところもあります。実際にこのアルバムを制作するにあたって、ジェフ・ベックはジョン・マクラフリンのマハビシュヌ・オーケストラに大きな影響を受けたということもあり、そうするとロックではなくジャズに近いです。それでも、このアルバムの中のジェフ・ベックのギターはロックそのものですけどね。
ジェフ・ベックのギターはコピーしにくい
このアルバムは1975年に発表されたものですが、今聴いても全く古さは感じさせません。特にオープニングの「You Know What I Mean」の9thコードのギターのカッティングは、実に洗練されていて、当時僕はギターを弾いていましたが、こういうギターは初めてだったので、ものすごく刺激を受けた記憶があります。さらにいえば、ジェフ・ベックのギターは、凄くコピーがしにくいギターでして、それは、リッチー・ブラックモアにしても、サンタナにしても、ストロングタイプのギターを弾きますが、大体どこを弾くのかわかるんです。ところが、ジェフ・ベックの場合は、どういう音を抑えるのか、予想ができないという特徴がありまして、すごくコピーがしにくいのです。そういうところでも、彼が天才と言われる所以でもある気がしますね。
そういうギタリストが、ボーカリストとの決別という、ロックギタリストから脱皮するように発表した「Blow By Blow」は実に挑戦的だということが出来ます。すごい人です、本当に。
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