Webサービスの4つのポイントその1「フリー」
僕が所属するのwebの業界というのは、インターネットがインフラ化していることで日々進化しています。ただ、進化がとても早いと言うことと、そのサービスの元となるものがほとんどすべてと言っていいほど、海外からの輸入であると言うことから、日本語化が一向に進んでいないと言う問題があります。
そういう事情なので、正直カタカナが横行していると言うこともあり、それは極言をすれば、それほどIT等に得意ではない人、或いは得意ではない世代に対して敷居を自ら高くしているということであり、それはwebサービスも根本である
- 便利
- 簡単
- 気軽
というポイントからずれてしまうというところに、web業界或いはIT業界がまだまだ金融とかメーカーといった昔からある業界よりも尊敬されないと言う事態にまで発展してしまっていると思う。IT業界に属している僕を含めて、カタカナを多用すればそれだけで俺は優秀なんだよと言うアピールは、結果的に自慰行為そのものであり、僕の周りにも普通に英語をきちんと話せる人はいますが、変な使い方はしません。少なくともwebサービスと言うのは、生活を便利にするためのツールであり、時間を短縮することで、他の時間を有効に使うための物だと僕は思うのです。
そこで今後webサービスを展開して行く上で、僕は4つのポイントがあると思うのです。それは何かというと
- フリー
- クラウド
- ソーシャルメディア
- WiFi
で、これらは今後更に進化して行くと思うので、この4つの事について僕の考え方をまとめようと思います。
フリーと言うのは、今ものすごく売れている本でクリスアンダーセンの「フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略」と言う本があり、何かを無料にすることでお金を生み出しましょうと言うやり方ですね。クラウドというのは、アプリケーションやファイルなどをすべてインターネット上のサーバーに格納することで、インターネットが接続出来る環境であれば、どこでも作業が出来ると言う仕組み。ソーシャルメディアというのは、言葉の使い方が難しいと思うけれども、簡単にいえば、TwitterやSNS、ブログに代表される大きなフィールドの中で個人個人が自らが発信をしていくことです。WiFiに関して言えば無線LANのことです。これらの4つのポイントについては、1回の記事ではものすごい量となるので、4回に分けて僕の考えをまとめて行こうと思う。
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 小林弘人 日本放送出版協会 2009-11-21 |
事の発端は、この本です。この本、分厚くて僕も読みましたが、そんなに目新しいことは書いてません。つまり、サービスを無料にすることで収益をあげている事例をwebサービスに特化した形で説明をしています。この著者であるクリスアンダーセンと言う人は、アマゾンの売上からロングテールの法則というものを見出した大変すごい人なんですけれども、そのロングテールの発見と比べると、正直言ってこの本は陳腐。ものすごく売れていますが、話題になるほどのことは何も書いてなくて、フリーにすると、利用者が増えますよと言うことをものすごく冗長に書いてある。ただ、この本のマーケティングがwebマーケティングに一石を投じたところがあり、これはものすごく評価できるものです。
どういうマーケティングをしたかと言うと、
これでこの本に興味のある人が申し込みに殺到したのですが、ここで面白い現象がおきたのは、その本全文を読む権利をゲットした人が、自身のブログでその本の書評を書いたと言うことです。その書評を書くと言うような人は、ほとんどの人がアマゾンのアフィリエイトをやってる人ですから、結局そのブログを読んだ人は、興味があればブログ内のアマゾンのリンクをクリックして、アマゾンでこの本を買うと言う流れです。それとこれは僕の想像ですが、この本を全文読める権利と言うのは、PDFをダウンロードできるもので、このPDFもPCで表示はできるけれどもダンロードも出来ず、かつプリントも出来ないというもの。したがって、この本を自ら買った人も多くいたはずです。個人的にはそんなに制限するのはどうなのかなとは思いますが、結局この本は、このやり方でインターネットでものすごく話題を呼んで、クチコミがクチコミをよぶと言う好循環となり、ビジネス書にしては異例と言うほどの売上を上げています。
ただし、先にも書きましたが、そんなに大騒ぎすることではなくて、このフリーのビジネスモデルと言うのは、昔からあります。一番いい例で民放のテレビです。テレビというのは、基本的にはドラマにしても映画にしても無料で、しかも家にいながらにして見れるわけですが、つまらなかったらそれは打ちきりになると言うとても厳しい世界です。無料だからお金もかけず、陳腐なキャスティングだったら、だれもその番組は見ないわけで、テレビ局も必死です。
webサービスにしても全く同じで、コンテンツが優れていなければフリーにしても絶対に収益は生まれません。わかりやすく言えば、安かろう悪かろうだったら誰も使わないということです。では、どういうビジネスモデルがフリーと言う立場で収益を上げるのかということですが、一番わかり易いのはweb上のメールサービスです。webで利用できるフリーメールサービスは、沢山あります。代表的なのはGmail、Hotmail、Yahoo!メールといったところでしょうか。後はオンラインストレージもありますよね。そこでこのメールサービスについて言うと、僕はGmailのユーザーです。僕自身メールのアカウントが、会社を経営していると言うこともあり多数あるのですが、それをすべてGmailに転送していて、メールのやり取りも、Gmail上でアカウントを使い分けています。ですから、これは後日お話をしますが、クラウドコンピューティングを大いに利用しているものでして、出先でiPhoneでメールをチェックしたり、客先に行ったときに、ノートPCでメールのチェックができるので、凄く便利なわけです。しかもすべてのメールがGmailに飛んでくるわけですから、メールを見逃すと言うことは基本的にない。しかも、迷惑メールのフィルタリングが秀逸でして、これはHotmailやYahooMailにもありますが、その精度は雲泥の差です。
つまり、Hotmailにしても、Yahoo Mailにしても利用するのはお金がかかりません。しかし、サービス内容がGmailとはお話にもならないくらいお粗末なので、結果的に僕は、これらのアカウントを持っていますが、使い勝手が良くないので、放置状態です。しかも、Gmailの機能はどんどん進化しているので、これは使わない手はないですし、その開発はきっと大変なんだろうなと思います。GoogleのGmailの目的は、これはもう簡単で、表示される広告をクリックしてもらう事です。Googleの収益と言うのは、ほとんどが広告収入です。Googleにすれば、どんどん広告を表示出来るメディアを作っていかないといけないわけで、その為には非常に精度の高いサービスを無料で提供することで、利用者を増やし、その利用者に広告をクリックしてもらうと言うことです。
それでは精度の高いサービスと言うは、どういう事かと言うと、Googleの例をあげれば、まず、Googleが提供してるサービスは基本的には無料ですから、端的に言うとサポートしなくてもいいということになります。というか、恐らくサポートまでは手が回らない。でも、利用者は使っていて上手く出来ないと言うことも、今まではあったかもしれませんが、フリーである以上そこに対して人材を配置すると言うことはコスト面から考えると、まず不可能だし、対応も出来ない。逆に言うと、利用者がサポートが不要になるほど簡単に利用できる操作性、或いは使い勝手を良くすることで、サポートの必要性を求められないようにサービスの精度を高めると言うことにあります。ま、メールのアプリケーションに関して言えば、そもそもそれほど使い勝手自体は問題ないわけですが、迷惑メールのフィルタリングとか、添付ファイルの警告とかそういった便利なサービスを付与することで、ユーザーの評価を上げていくということは、とても重要なことです。なぜならばインターネットサービスですから、それがどういう形で伝わっていくかと言うことを考えると、いい評判も悪い評判もものすごいスピードで伝わる多くの人に伝わります。怖いです。
以上のようにフリーだからと言って、安かろう悪かろうと言うサービスであれば、結局自分の首を締めてしまいます。また、最近のECサイトでも購入価格をある一定以上の購入をすることで、送料が無料になると言うサービスもあります。楽天では送料無料の商品はこちら!というくらい送料と言うのは大きな比重を占めています。恐らくこういうケースはどんどん増えると思うのですが、送料じゃなくて最近ですと、アマゾンがプレミアム会員に対して電子書籍リーダーであるキンドルを無償で提供すると言うニュースが流れました。これは、iPad対策と言うこともありますが、電子書籍リーダーを無償提供することで、アマゾンの利用者を増やすという「フリー」の実践そのものであるということであり、さすがアマゾンと敬服してしまった。
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