Googleの中国撤退について
今年のはじめくらいでしたっけ?Googleが中国の検索に対する検閲に対して、ものを申し始めて、アメリカ政府も僕から見たらそれにつけ込むような形で、中国に対して検閲を撤廃するようGoogleを後押しするような対応をしました。そして、本日Googleは正式に中国から検索事業について撤退を表明しました。
guardian.co.ukより引用 |
Googleの今回の検閲に対する動きは、もともと中国からGoogleを含めた米企業に対して深刻なサイバー攻撃があったととのことで、それをきっかけに検閲を撤廃してほしいという要望を中国に出していましたが、中国政府は、それを拒絶。そのためGoogleの検索事業の撤退という結果になりました。
この一連の動きにおいては、僕は反米主義者でもありませんし、逆にネット関係ではどうしてこんなにすばらしいサービスやアイディアが生まれるんだろうということを驚嘆する思いをいただいていますが、やはり、今回のGoogleの中国への要望やそれを後押しする形で中国政府を非難したアメリカ政府の対応には、相当問題があると思いました。
それはなんと言っても中国が一党独裁国家である以上、政府や共産党を批判する文書の流通は当然認められない訳で、もし、それを許してしまえばソ連を含めた東側諸国を形成していた共産国家のように崩壊することは、目に見えていますし、古い言葉ですが、Googleやアメリカの要望をいちいち取り上げていたら、国体の維持が不可能になり、それこそ中国そのものが崩壊してしまうのは、自明の理である以上、中国がGoogleの要請を受ける訳がないのです。つまり、社会主義体制の国家において、100%の自由は謳歌できないということです。
アメリカという国は、昔から自分の親切心という物を他国に押し付けるようなところがあります。
日本で言えば、今は竜馬伝でもやっていますが、ペリーが浦賀に来航し、黒船来襲のような対応で江戸幕府を武力で脅すことで開国を強いたのは、歴史でも学びました。太平洋戦争でも、日本が石油を確保するために中国を始め多くの国を侵略した事は、日本人として恥ずべき行為ですが、直接アメリカに危害を加えた訳ではなく、結局アメリカの過剰な善意で日本は戦争をせざるを得なかったという背景もあるし、妙な博愛主義をアジアに押し付ける傾向があって、今回のGoogleの騒動は、そういうアメリカの世界戦略的な思惑が見え隠れしているような気がするのです。
余談になりますが、東京裁判の時だったと思いますが、日本陸軍の石原莞爾が、日本の戦争責任を追及したときに、石原は平和だった日本に恫喝で開国を迫り、近代化せざるを得なかったことに対するペリー提督の責任を追求したという話を聞いたことがありますが、なんとなく石原の気持ちが分からないでも無いです。
今回の件についてはニュースにも報道されているように、
Googleが中国での検索事業を撤退する代わりに22日には、検索など自社が展開するネットサービスの中国からの利用状況を一般に公開する専用サイトも新設。1日単位で毎日更新し、どのサービスが遮断されているかを公表する。グーグル幹部は同日、中国当局が香港経由の「検閲無し」サービスを妨害する可能性も示唆しており、当局の介入を世界ネット利用者が“監視”できるようにした。(日本経済新聞より引用)
一企業が、国家を相手にここまでやる事は許されるんだろうか。
もし、逆のことを日本人などアジア人が同じことをやったら、何をされるかわからない。トヨタ問題にしても、あれだって鳩山政権がアメリカの言う事を聞かないから、必要以上に問題を強調していると言う穿った見方もあるわけで、その辺りはもう少しアメリカも冷静になって欲しいし、いらぬおせっかいはやめるべきだと僕は思うのです。
言い訳がましいことを敢えて言いますが、僕は冒頭に述べたように、日本を近代化できたのは、欧米諸国のおかげだし、戦争に負けたことで日本がよくなったと思うし、直近ではインターネットを上手に使う国はアメリカだと言うことは、良くわかっていますけれども、ただ、今回のGoogle問題はいただけない。企業の理念を追求することがいいことなのか、或いは国家の国是を追求した方がいいのか。このあたりはとても難しいと事だとは思います。