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【司馬遼太郎入門その1】燃えよ剣

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燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫) 司馬 遼太郎

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結局、龍馬伝は、司馬さんの竜馬がゆくとは全く別物なんだという意識が最後までできず、恐ろしくストレスの貯まるドラマでしたが、一方で司馬遼太郎という人が、いかに優れた作家であったかという事が今にして認識できました。国民的作家によるものとそうじゃないものは、根本的にレベルが違うということを改めて思った。
司馬入門は、燃えよ剣

そういった司馬さんの作品は何が面白いのということをTwitter上でよく流れているんだけど、司馬さんの本はほとんど名著なんですが、ただ、一方で長編が多い。竜馬がゆくだって8巻だし、坂の上の雲もそう。翔ぶが如くに至っては10巻ですからね。本一式でよほど決断力がないとなかなか読めない。

ただ、司馬さんの本は、龍馬伝と違って史実にかなり基づいてるので、恐らく脚色されているのは登場人物のセリフだけで、あとは事実通りですから、楽しみながら歴史を学ぶことが出来ます。本当に偉大な作家でした。
で、本題に戻ると、じゃあ、最初に読むとしたら何がいい?という質問には僕は独断と偏見で「燃えよ剣」をおすすめします。特に自分を曲げないのはカッコイイんだということがよくわかります。信念をこえちゃってるのかな。

土方歳三の人生

主人公は、坂本龍馬側から見たら、不倶戴天の敵である新選組副長土方歳三。この人はどういう描かれ方をしているかというと時系列で書いてくと

  1. 新選組の結成
  2. 芹沢鴨らを粛清
  3. 池田屋事件
  4. 禁門の変
  5. 鳥羽伏見の戦い
  6. 敗走
  7. 旧幕府軍と共に北上
  8. 北海道に駐屯
  9. 五稜郭
  10. 函館で戦死

短く言うとこんな感じで、最後の最後まで戦い抜くというすごいことをした人です。しかも、これはよく知られていることだけど、新選組の近藤、土方はもともと侍じゃないですからね。そういう人たちが、倒れ行く幕府に殉じるところに、後世の人々は感じるものがあるんでしょうね。

ちなみに去年函館に行ったときに五稜郭行って来ました。こんな感じですわ。

これは五稜郭タワーから撮影した五稜郭ですね。パワーを使いきっていたので、五稜郭公園に入ることは出来ませんでした。
これは土方歳三の銅像です。どういうわけだか、榎本武揚とかに関する資料はないんだよね。なぜか。
土方の人生として面白いのは、大政奉還後に戊辰戦争が勃発し、鳥羽伏見の戦いで負けた土方たちが江戸に集結し、その後箱館戦争まで延々と戦うところにあると思いますね。戦えば、絶対に負けない常勝将軍として力量を発揮する土方。

一方で、時代はますます新政府に風が吹き、結局土方は戦死するのですが、己の信念に基づいて間違ってよう正しかろうが、生きて行くという様は、状況によって右往左往する人たちが多い今日、大変な新鮮さを僕は感じるのです。

ちなみにこの土方というひとは、大変ハンサム。

この写真は大変有名ですが、幕末時には、泣く子も黙るという表現が最もふさわしいと言われた男です。

信念を曲げないのはかっこいいことだと思う

とにかく、この本は2巻と大変短いし、司馬さんの筆力は圧倒的なので、おすすめ。僕も何度も読み返しましたし、今もちょうど読んでいるところです。時代背景みたいなものがあると思うんだけど、この時代は正直憧れますね。

例えば、僕の周りを見ると有名人無名人問わず、打算的な奴がおおい。もちろん、これは僕も含めてですが、勝間和代とか堀江貴文とか、上っ面だけの人たちをもてはやすこの日本のマスコミ支配の時代に、愚直に自分の信念を曲げない人がいかにカッコいいのかというのが、この本を読むとわかります。みなさん、こんな奴らの話をまともに聞いたら、駄目ですからね。

ちなみに坂本竜馬は、どちらかというと信念の人ではありません。ただ、勝海舟から聞いたアメリカの大統領は末端の人の給料まで考える、或いは、力のあるものが上に立つという社会に憧れて、幕府を倒そうとするわけですが、土壇場で大政奉還ということを言い出した。

ずっとそれで革命化を進めていた薩摩藩や長州藩の人たちはそれは怒るよね。そのくらい竜馬という人は柔軟の人です。それはそれでいいですが、一方で土方のように最後の最後まで北の果まで戦うという人生はすごい。結局最果ての函館という土地で戦死します。かっこいい人だと思います。あやかりたいものだ。