司馬遼太郎さんの秀吉への愛情がぎっしり詰まった「新史太閤記」
僕は日本の歴史で一番偉い人は、豊臣秀吉だと思うんです。最下級の身分から関白になっちゃうというのは、単純にすごいと思うのです。その秀吉に対してたっぷりの愛情を司馬遼太郎さんが注いだ「新史太閤記」はものすごく面白い。司馬さんの戦国作品でも出色の出来だと思います。
天下統一までの秀吉
なぜ秀吉は将軍になれなかったのか
この本を読むと色々と勉強になるのですが、どうして秀吉は天下を取ったのに、過去の源頼朝とか足利将軍、あるいは徳川家のように将軍になれなかったのかという疑問が出てくると思うのです。この本を読むと、どうしてかということがわかるのです。ここでその答えを書きますと、征夷大将軍と言うのは朝廷から宣下されることになっていまして、その場合に源氏が初代の征夷大将軍になったということもあって、源氏を名乗るものではないと、征夷大将軍にはなれません。
一方秀吉は、当時から氏素性がはっきりしないということもあり、そこで将軍にはなれない。そのためどうしたかというと、信長が追放した足利義昭の養子になろうとするのですが、それは義昭に断られてだめになり、ここで秀吉の征夷大将軍になるという道が完全途絶えてしまった。
そこで、秀吉はどうしたかというと、藤原氏の養子になることで公卿として最高位である関白を狙って、関白となり、さらには朝廷に申請をして、「豊臣」という姓を賜ると言うことになり、結果この苗字で後世に知らしめると言うことになったわけですね。形式的には秀吉は公家となり、公家として武家の棟梁になったということになります。そこまで色々と大変だったようですが、そういうこともこの本に書かれています。
人物が出てきて楽しい本です
- 寧々
- 織田信長
- 蜂須賀小六
- 竹中半兵衛
- 黒田官兵衛
- 明智光秀
- 柴田勝家
- 織田信雄
- 徳川家康
などなどで、特に天下を完全に掌握をするときの徳川家康とのやりとりは、本当に天下取りは険しいねえと秀吉に対して同情してしまうし、それを成し遂げた秀吉の偉大さを改めて僕は感じるのです。
やはり秀吉は英雄だったんだと思う
最後のシーンも良いです
これ、秀吉の辞世の句です。いいうただと思います。