ブランドを壊すモノその2ーMSはどうして急激に駄目になったか
先日は、統一地方選挙の前半戦があって、東京都はまさかの石原再選という、一番あってはならないことがおきてしまった。これは民主党が石原に対抗出来る候補を出せなかったということだし、どうして出せなかったということは、一連の失政で民主党に対する失望感の現れということだ。
とにかくこの失望感ほど、気持を落ち込ませるものはない。音楽に限っていうと、僕が高校とか大学だったときに大好きなアーティストのアルバムが出るのってすごく楽しみだった。昔は、音楽は試聴できないので、音楽雑誌のレビューを参考に買うことが多かった。だから、自分の好きなアーティストのアルバムで予想よりもよければ、もの凄く感激して、益々そのアーティストが好きになるし、予想より悪いとがっかりして、場合によってはそのアーティストのファンをやめることだってあった。ただ、だいたい予想以下のアルバムをだすと、そのバンドはだめになりましたね。そんなものです。
ウェブでもそうなんですよ。僕らが一番気を使うのは、いかにユーザーがサイトから離脱しないように色々と考えます。まず、コンテンツについて情報を提供する場合も、ユーザーを分析することは当たり前のことです。これはマーケティングの基礎中の基礎なので、ここでは敢えて言及しません。
次に大事なのは構造的なこと。構造的なことはどういう事かというと、ウェブサイトの使い勝手を考えてサイトのデザインを考えるということ。これは、もっと判りやすく言うと、そのサイトが扱うサービスや商品が、それを必要とするユーザーに伝わるかどうかということが一番大事で、もっとざっくりいっちゃうと、どれだけユーザーに手間をかけさせないで、見せたいのコンテンツに辿りつけられるようにするかということなのです。
これ、アップルのトップページ。
トップにじゃーんとiPad2の画像が出ていて、明らかにアップルが新しいiPadを売りたいというのがよくわかる。しかも、実際に見てもらえれば分かるけど、このアップルのトップページに行くと、一番初めに表示されるのが、このiPadと下の2本のムービーのボタン。新規で来るユーザーは、とにかくiPadのことしかクリック出来ないようになってるわけで、ユーザーとしてもいちいち他のコンテンツを選ばなくてもいいという手間も省けます。使い勝手を考えた場合に、ユーザーに余計な手間をかけさせないということはすごく重要なことです。
こちらは、凋落著しいマイクロソフトのトップ。
マイクロソフトとしては、今、東日本大震災について復興支援をします!というのが、一番アピールしたいのですが、ムービーのスタイルを気にしてしまって、メニューが縦になっていて読みにくい事この上ない。いちいち、顔を横にしないと見れないというだけでもうだめですな。つまりユーザーの負担をかけてしまってるということです。さすがあの悪名高きVistaを販売している会社だけある。
特にこういうウェブメディアに関していうと、ユーザーに余計な負担をかけるというのは最悪なんですね。つまり、ユーザーはできるだけ、自分の知りたい情報をできるだけ早くゲットしたいわけです。それはインターネットがブロードバンドが普及したことで爆発的に広がったんだけど、これはブロードバンドだと動作が早いということ。つまり、ストレスを感じずにインターネットを楽しむことが出来るようになったからです。
MSが決定的に駄目になったのは、個人ユーザーで言えばOSのVista。このOSは、セキュリティと表現力が自慢だったのですが、このOSをスムーズに動かすためには、スペックの高い機械じゃないとダメということで、ということは、ユーザーはいちいちWindowsを使うために、高いお金を落とさないと使えないという、極めて本末転倒なことになっちゃって、そういうOSだから、起動時間もかかり、ここでもユーザーを待たすということをし、そう言うのが嫌なユーザーは、別途ユーティリティソフトを買わないといけないということになり、ここでもユーザーに負担を強いる製品だったわけです。だから、次のOSは、動作が軽いのが売りですよね。前回のOSの反省点を組み込んだのがWindows7で、ということは、今までのユーザーはMSの実験台になったわけで、そういう迷惑な製品に対して、ユーザーが支持するわけがないのです。ですから、今Googleが進めているOSプロジェクトは、Windowsと逆のことをしようとしている。そうすることで、極めて使い勝手のいいOSができるということですな。起動時間がかかるんだったら、それが早く起動できるようにすればいいわけだし、動作が鈍かったら、そうならないようにすればいい。
とにかくマイクロソフトに関していうと、この会社が作ったOSがインストールされているPCを持っていると、ウイルスソフトとか余計な出費をしないといけない。そういう事がユーザーにも分かってきたわけです。Macだったらそういうソフトは今のところ不要だからね。
こういう感じで、余計なことを強いる→失望感ということになり、ブランド力が落ちるということになるわけです。