田中角栄さん
昨日は、久しぶりに横浜の実家に行ってきた。実家に行くのは、おふくろが死んで以来かな。1年半ぶりです。この家には、真っ黒い山のような猫がいまして、こいつがまた愛想がないのです。因みにうちの猫は4.2キロありますが、こやつは恐らく6キロくらいはありそう。それくらいでかいです。
で、実家に行き、おふくろの部屋には僕の本やCDがたくさんおいてあります。覗いていたら、早坂茂三さんの著書を発見した。早坂茂三さんという人は、田中角栄さんという昔の総理大臣の秘書を20年近く勤めた方で、田中角栄さんがダウンしたときに娘の真紀子さんに解雇され、独立して政治評論家をされた方。
元々は新聞記者をしていた人なので、さすがに文章が上手。僕は田中角栄さんが大好きだったので、彼の名物秘書だった早坂さんのいわゆる田中本はもう何度も読み返した。それだけ早坂さんの文章は上手だし、田中角栄という人間の面白さとある種の悲哀を感じて、僕は益々田中角栄という政治家が大好きになった。
ところが、この早坂さんの本は、今出版してないみたいで、アマゾンとかでも売ってない。僕は早坂さんの本が読みたいなと思っていたところ、実家に何冊もあり、特に僕が好きだった本をもって帰ってきた。
僕はこの田中さんという人が好きで好きで、彼が亡くなった時は、今は一緒に生活をしていませんが、長男を連れて青山葬儀所に行ったものです。そういう彼のエッセンスが、一番そばにいたひとりである早坂さんの優れた文章力で書かれていて、実に面白い。
この本には田中さんの写真がたくさん掲載されていますが、
いまどき、こんな素敵な笑顔の出来る政治家はいませんな。やっぱり田中さんは小学校卒で総理大臣になったすごい人だけど、苦労しているので、人の痛みや機微というものがよくわかる人でした。今そんな人って周りにいない。僕の周りでも何人もいません。
田中角栄さんの政治家としての真骨頂は、日中国交回復だと思う。政治家は大きな仕事をすればいいと思うのです。その日中国交回復だって、それを自民党内でまとめて、その後中国でやり取りをするという大変な作業があったんだけれども、俺の力は今が一番強い、一気呵成に日中をまとめると言って、本当にまとめてしまった。僕らが政治家に求めるのはここなんですよね。少なくとも原子力がどうだとかそういう技術的なことをちまちまやるんじゃなくて、それこそ、原子力発電は危険だから止めちゃう!というような政治決断が出来ないの?ということなのです。
近年で言えば、小泉総理が北朝鮮に電撃訪問して、少なくとも拉致被害者を連れて帰ってきた。そういう事をしてくださいということですね。あとは尻切れトンボになっちゃったけど、鳩山さんがCO2を25%削減するって国連で宣言したけど、役人には出来ないようなことを実行するのが政治家の仕事だと思う。
今の政治家は、かっこ良くなっちゃって、こういう田舎のおじさんってあまりいないけど、ちょこちょこ細かいことばかりしてないで、政治家しか出来ない一つ上のランクの仕事しろと言いたい。
司馬さんが翔ぶが如くかな西郷さんや副島種臣といった政治家は、細かい実務は出来ないけれども、役人が足元に及ばない大仕事はできたって書いてます。これは西郷さんにしても、明治維新もそうだし、版籍奉還、廃藩置県など、彼が責任を持った仕事です。副島さんにしても、外務卿(当時の外務大臣)として清にわたり、外国人として初めて皇帝と面会して、日清間を円滑にした。つまり、政治家の仕事はそういう事です。
ま、人物が小さくなっちゃってどうしたものかと困ってしまうけど、それでも世の中は動いてるわけで、そう考えると有能な政治家って言うのもいらない時代になってきたのかなと思ってしまうのです。