2016/06/07
花燃ゆの第14回「さらば青春」の視聴率が今まで最低の11.2%を記録。これは役者の責任ではなく脚本力の問題
大河ドラマ花燃ゆの第14回「さらば青春」の視聴率が、前回よりもさらに下がって、11.2%と花燃ゆが始まって以来最低の視聴率を記録しました。これは、脚本がダメというか、ストーリーが視聴者を惹きつけないというレベルになってきた感がありますよ。大丈夫?NHK。
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どうして視聴者が花燃ゆから離れていくのか
どうして視聴者が花燃ゆから離れていくのかということを考えてみました。過去5回の視聴率をチェックしてみると、
- 第10回 12.7%
- 第11回 14.0%
- 第12回 13.2%
- 第13回 11.7%
- 第14回 11.2%
ということで11回からは右肩下がりで視聴率が下がってきてます。出演者によっては視聴率に一喜一憂しないと言っていますが、内心は心穏やかではないはずです。ドラマは見られてなんぼですから。
ただ、役者を見てても、そんなにひどくないというか、よく頑張ってると思うんですよね。伊勢谷友介の松陰もいいし、大沢たかおの小田村伊之助もいい。もちろん、ヒロインの真央ちゃんも申し分ないです。一部、この人、歴史のことわからずに演技してるんじゃないのという人もいますが、そのことが番組に大きな影響を与えているという感は全く感じません。
では、何が問題で視聴率が伸びないのかというと、僕のように一視聴者としてみると、やはりストーリー自体が面白く無いという、至極当然の結果という感じがするのです。
このブログでもう何度も書いていますが、
幕末の歴史的な事象を見てみると、この時代は面白く無いはずがないんです。逆転につぐ逆転劇がおきて、その中の中心にいるのが松下村塾の塾生であり、幕府との攻防、薩摩都の攻防、京都政界での攻防など、本当に息が詰まるほどの展開があるのに、そこをうまく脚本が利用していない。
NHKはオリジナル脚本は志向すべきではない
NHKの大河ドラマは何故かここ数年オリジナルストーリーにこだわっています。篤姫は宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」が原作ですが、それ以降「天地人」を除くと
- 龍馬伝
- 江~姫たちの戦国~
- 平清盛
- 八重の桜
- 軍師官兵衛
とずっとオリジナル脚本です。ちなみに平均視聴率をチェックすると
- 篤姫:24.44%
- 天地人:21.18%
- 龍馬伝:18.72%
- 江~姫たちの戦国~:17.7%
- 平清盛:12.01%
- 八重の桜:14.6%
- 軍師官兵衛:15.85%
ということで、篤姫と比べると他の番組の視聴率は目を覆いたくなるほどです。これは完全に本選びに失敗していると言わざるを得ません。本自体がつまらないから、視聴率が離れる。当たり前のことです。
ドラマ化される原作となる本は、それなりに読者の支持があればこそ大河ドラマに選ばれるわけでして、原作の本が面白いと思わなければ、さすがにNHKも採用しないはずです、普通は。
ところが、龍馬伝以降は、オリジナル本にこだわっているけれども、その本を書いている人が過去にどれだけ読者や視聴者を夢中にさせたのかと聞かれたら、それは本を書いて勝負している人たちに、勝てるわけがないのです。
たとえば、「龍馬伝」にしても、そのライバルとなったのは司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」であり、実際に「竜馬がゆく」を読んで「龍馬伝」を見る人がものすごく多かったわけですが、結局「龍馬伝」はストーリーよりも画面やキャストに力を入れすぎて、肝心のストーリーはかなり無理があったりして、坂本龍馬という日本でも信長に肩を並べるほどの人気者を扱っておきながら、視聴率が伸びなかったのは、ストーリーが「竜馬がゆく」よりも面白くなかったからと僕は思うのです。
日本史の中で最もおもしろい幕末史
日本の歴史において、一番面白いのは、戦国時代と幕末です。「花燃ゆ」は幕末を舞台としてるわけで、これからいろいろなことを長州を中心にして展開をされていくのですが、そのあたりを忠実に描くべきで、浅知恵に基づいた創作は史実の面白さには叶いません。歴史の事件をあげると日本全体で見てみると
- 安政の大獄
- 吉田松陰処刑
- 朝廷の長州化
- 8月18日の政変
- 池田屋事件
- 蛤御門の変
- 第1次長州征伐
- 第2次長州征伐
- 徳川家茂死去
- 徳川慶喜将軍就任
- 薩長同盟成立
- 大政奉還
- 王政復古の大号令
- 戊辰戦争
- 明治維新
など数えたらきりがありません。これだけ大きなイベントがあるのに、花燃ゆではもたもたしてる。これは歴史の知ってる人が見たら、なんだこれはということになってしまいますよ。
何度も書くが花燃ゆは世に棲む日日のエッセンスを加えるべき
作家としての実力のない人がストーリーを考えても、いいものが出来ません。何よりもこの幕末史は上記に書いた通り、歴史的に本当に面白い。それこそ大逆転に次ぐ大逆転劇が事実として起きてるし、それをとんがった役者が演じているわけです。長州で言えば、
- 吉田松陰
- 周布政之助
- 高杉晋作
- 久坂玄瑞
- 桂小五郎
- 吉田稔麿
- 伊藤博文
など、それぞれ大河ドラマの主役になり得る人が輩出しているのに、それをうまく行かせないのは脚本の力というか、原作がつまらなくしているとしか言いようがありません。そこで、この時期の一番面白い本は、このブログでも何度も書いていますが、「世に棲む日日」が一番長州の立場に立って書かれていて、面白いです。この本は4分の1が吉田松陰、残りの4分の3が高杉晋作のことが書かれていますが、司馬さんの筆力もあり、読者を本から話しません。それほど面白い。
NHKには面白い本をかける人がいないというよりも、司馬さんの本が面白いのだから、このエッセンスを使わせてもらうべきだし、そうじゃないと、大河ドラマ自体が存亡の危機になりかねないわけです。
それはブランドが上がると思って大河ドラマに出たのはいいけれども、本がつまらなくて、視聴率がとれないから、役者のブランドが落ちてしまうんだったら、芸能事務所だって役者を出さないでしょう。それほど深刻な問題になってきましたよ、こちらは。歴史に忠実に描写しないと、だめです。学園ドラマだとか、ホームドラマだとか目先のことばかり言ってないで、歴史の面白さを表現しないと、視聴者は離れます。
とにかくNHKの人は世に棲む日日をもう一度噛みしめるように読んでほしいと思います。
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