奇縁まんだら、武士の娘、猫語の教科書
本と音楽ほど期待以下な時の落胆ってないと思う。本にしても音楽にしても期待をして買うわけで、これがつまらない時は倒れそうになります。ここ数日3冊ほど本をたてつづけに買いましたが、面白くて最高です。
まずは、瀬戸内寂聴さんの奇縁まんだら続の二。
先日、瀬戸内寂聴さんの日経のエッセイが終わっちゃったという記事を書いたけど、記事を書いてたらどうしてもこの本が買いたくて、あっさりゲットしてしまった。この本は前の2冊と比べると評判はそれほど良くないのですが、昨日アマゾンから届いたのでサラっと読んだけど、さすが瀬戸内寂聴さんの文章なので、読みやすいですし、やっぱりこの人の感受性は、ただ者じゃないという感じで、さっと読めます。どういう人のことが書かれているかというと、文学者以外だと田中角栄さん、美空ひばりさん、勝新太郎、岡本敏子他40名強かな。
さすがに濃い人の人物評は、面白いね。それを文筆家である瀬戸内さんが書いてるわけだし、人をどういう側面で見るかということも含めて、いろいろ勉強になる。ビジネス書よりずっと面白いです。ちなみに田中さんのことはどう書いてあるか引用すると、
「あら、自民党にはまだ衿があったのですか?」
と言ってしまった。
そのとたん、角栄さんは、持っていた扇子で、ぽんぽんと音のするほど自分の額をたたいてみせた。
「やあ、やあ、これは一本やられましたなあ、まあ、そう言われても仕方のない面目のないことでして。しかし、やっぱりここは、深く反省して、挙党一致で心を引きしめにゃあならんとこです」
私は言いすぎたかと思ったが、角栄さんが破顔一笑して、受けとめてくれ、座がかえって和んでほっとした。
こういう文章を読むと、在りし日の角栄さんを思い出す。僕の知ってるテレビでの田中角栄さんもこうでした。Youtubeに角栄さんの演説があるかなと調べてみると、
あった^^
懐かしい。今これだけ力があり演説で人をひきつける政治家がいるかってことだよね。渡辺喜美さんはそういう所があるけど、所詮2世だから、厳しい。
次にこちら。武士の娘。
この本は、僕の大好きな司馬遼太郎さんが大絶賛して思わず買っちゃったのですが、よく見ると「杉本鉞子著 大岩美代訳」ってあるでしょう。これは杉本鉞子さんがアメリカで発表したものを大岩さんが日本語訳したという本で、今の日本では使われない言葉や言葉遣いがあって、実に面白いです。
この杉本鉞子さんという人は、明治6年に旧長岡藩の家老の娘として生まれ、そしてアメリカにわたり、この帯にも書いてあるけど、高貴で思いやりのある日本女性としてアメリカでとても尊敬された女性だそうです。
河井継之助 |
この本が劇的なのは、長岡藩という藩は、幕末時に幕府側に立ち、越後の大天才河井継之助が藩の執政(首相のようなもの)として戊辰戦争での北越戦争で山県有朋率いる官軍を何度も敗走させてたということがあり、結局長岡藩は官軍に圧倒されちゃうんだけど、おそらくその後始末を杉本鉞子さんのお父上は家老としてやったはずです。そういう人の娘として、武家の娘としてしっかり教育を受けた武士の娘の自叙伝として、実に面白いのです。
この本を読むと、武士の節度というか教育の大切さというものを改めて実感するわけで、こちらもまだまだ読んでる途中なので、いずれ書評を書きますが、さすが司馬さんが絶賛しただけある。余談だけど、日露戦争後に乃木将軍が外国メディアから社会主義についてどう思いますか?と質問されたところ、「武士道が最も優れている」と断言して、外国メディアを圧倒しちゃったことがあったそうだけど、なんとなくニュアンス的にわかる感じがするね。僕も節度のある人は男女問わず尊敬しちゃうし。
ちなみに司馬さんには河井継之助のことを書いた「峠」という著書があります。内容が河井継之助のドラマチックな人生といい、いずれこれも大河ドラマにして欲しいなあ。
次に猫語の教科書
僕はね、猫がすごく好きなんだけど、どういう所が好きかというと、自分のことが一番好きでしかも犬のように媚びを売らないところ。ご飯の時だけだからね、人間に媚を売るのは。
この本はどういうわけだか、Amazonでおすすめに入ってたんだよね。こういう面白いタイトルはなかなか無いので、ゲットした。白黒の写真が掲載されてて、おもしろいです。
外国の人が書いた本ですが、こちらは今の本を読み終わってから、目を通す感じかな。
とにかく面白い本に出会えるのって最高だね。