ユーザービリティという考え方ーApple、GoogleそしてMicrosoft
MicrosoftがWindows Liveという無料のサービスを提供していて、特にスカイドライブというサービスはWindows LiveのIDを持っていれば25GBのストレージを無料で提供するという、まあ、さすがお金を持っているMicrosoft!という感じなのです。
今日も、ブログをチェックしていたらスカイドライブのiPhoneアプリを提供しているというニュースをみて、iPhoneに溜まった写真のデーターをアップしようかなと思って、ダウンロードしてみました。
ちなみに僕のiPhoneにはiPhoneで撮影した写真以外に、iPhotoで管理している一部の写真も入っているので、8000枚近くの写真があります。iPhotoで管理している写真は外付けのハードディスクやSafeSyncといったオンラインストレージにアップしてあるからいいのですが、iPhoneで撮影した写真は今のところ、そのままになっているので、どうやってバックアップしようかなと前から思っていたところ、スカイドライブのニュースが入ってきたので、インストールしてみました。
結論から言うと、使い物になりません。どういうことかというと、写真をアップするにしてもまとめて写真を選択することができないのです。ということは、1枚1枚アップしなければならず、3000枚以上ある写真を3000回もやってはいられないので、その場でアプリは削除。という流れになりました。
インターネットが主流になって、Microsoftは明らかに負け組なんだけど、これはこのスカイドライブアプリ一つ見てわかる。つまり、この会社は無料サービスを受けるためには、ユーザーは進んで手間をかけるべきという考え方が根底にあるのです。世の中にデーターをアップするのに1個1個やる人はいません。もしかしたら、それがまとめてアップできる方法があるのかもしれないけど、やり方が直感的に分からないということでもうダメですね。
Googleがインターネットの覇者になったのは何故か。これは検索の使い勝手を精度を高めたからで、もっとわかりやすく言うと検索すれば、ユーザーの期待しているサイトが表示される仕組みをみつけたということです。このGoogleのテクノロージーは、このブログで何度も書いてますが、
- 関連キーワードが網羅されている
- 更新頻度が多い
- 被リンクが多い
この3つの要素が多く網羅されているサイトが、ユーザーの期待に答えるサイトだということを発見して、それを検索条件に組み込んだことで、検索の精度が恐ろしく上がった。これがGoogleの強みです。ちなみに検索をすると、ものすごい量のページが検索結果として表示されますが、通常3ページ目以降はまず見ないのです。
また、Googleのイノベーションは、特に目新しいことをしているのではないのですが、無料だけれども、高性能で使いやすいということであり、日々使いやすさを追求しているということにあります。これは一番わかり易いのはGmailで、このウェブメールというのは、Gmail以前にもMSのHotmail、ヤフーのYahoo Mailなどがあります。どれも、無料ですが、HotmailにしてもYahoo Mailにしても、全く使いものにならない。例えば迷惑メールのフィルタリングが全く機能しないなど、どうにもなりません。
これはGmailが出現するまでは提供する方も、利用する方も、無料のサービスだから仕方が無いという認識でした。ところがGmailが出てから、高機能でサポートいらずの使いやすさということもあって、ウェブメールユーザーは相当な数の利用者がGmailに流れたと思います。Googleとしては、とにかくユーザーにはウェブにつながっていて常に検索できる状況にしておくというのが、ビジネス上の戦略ですから、Gmailを含めた無料の高機能サービスを提供することでブランディングの向上してもらい、検索もGoogleを使ってもらうように色々と考えているわけで、その一つのポイントが使い勝手と言うユーザービリティの向上なのです。
このウェブブランディングとユーザービリティという観点で、何も考えていないのがMicrosoftで、前述したスカイドライブがいい例です。インターネットはとても怖い所があって、使いにくいとユーザーが思ったら、そのサイトを離脱しちゃうか、あるいはブラウザの「閉じる」ボタンを押しちゃんです。これらの行為というのが、ブランディングが下がるということであり、結果的に業績も下がってしまうということになるわけです。
これはAppleのサイトはすごくわかりやすくて、今一番アピールしたい製品やサービスをドーンと出してきちゃう。Googleのトップページだって、検索しかできない。(Googleはトップページには広告を掲載しないという決まりがあるそうです)Amazonも、どうすれば買い物をしやすくするかということをサイトの見た目もそうだし、それこそ今は配送料を無料にしたということで、しっかりユーザーの心をつかんだと思うんですよね。
インターネットの場合は、今までと違うのは伝達スピードが以前と比べてものすごく早くなったということで、これは悪いこともすぐ伝わっちゃうけど、いいことも同じくらいのスピードで伝わります。こういうこともAmazonはよく考えていると思う。
ところがMicrosoftの場合は、Windows Vistaでもそうだったけど、使いにくかったら使ってるほうが負担しましょうという考え方なんです。だから、いつまで経ってもウィルスの脅威にさらされているし、そのためにセキュリティ対策をして、Windowsを使ってるがために余計な出費を強いられる。それが当たり前と思っちゃうのは、僕はおかしいと思う。
今回のスカイドライブのアプリに関してもダウンロードするまでの僕の心の動きは、
- さすがにMSも使い勝手を考えるようになっただろうからダウンロードしてみるか→ここではMSのブランディングが上がりそうな感じになっている
- そしてダウンロード、インストール、スカイドライブにログイン(期待)
- 写真をアップロードしてみる(期待)
- ところがまとめてアップロードはできなさそうだ(落胆)↘
- うそでしょ!!?(落胆)↘
- 直感的には1枚づつじゃないとアップは難しそうだ(落胆)↘
- iPhoneからのアップロードは諦める(落胆)↘
- やっぱりMSはだめ→さらにブランディングが下がる(落胆)↘
こんな感じですかね。誰がMSのインターネットの担当をしているのかわかりませんが、技術やお金がくさるほどあるんだから、もっと使いやすさ、それもシンプルな使い勝手をここは考えないとだめですね。ほんとうにつくづく思った。
先日もスティーブ・ジョブズの伝記を読んだけど、彼はどうすればシンプルに使いこなせるかということを常に考えて、サービスやソフトウェアの開発する基準としてるんです。そういう姿勢だったからこそ、ジョブスのApple復帰がインターネットが普及して、iPod、iPhone、iPadといった使いやすさを追求する端末の開発が時代に合致したんだと思います。MSの場合はその真逆をやっているので、勝負は当分MSの惨敗が続くと思うし、ある程度資金と技術があれば、Officeマーケットだって席巻することは可能かもしれないと思う今日この頃です。