落合さんが名将に慣れた理由は
去年のプロ野球人事で一番不可解だったのは、中日ドラゴンズ落合監督の解任。優勝監督をやめさせる理由がよくわからない。しかも後任は70歳の高木守道さん。中日の生え抜きだけど、あまりにも年が行き過ぎてるし、おそらく次の監督のつなぎということだと思うけど、よくそんなことを高木さんも引き受けたなという感じはする。
で、この落合監督という人は、監督を8年務めたのですが、優勝4回、2位3回、3位1回という抜群の実績をあげたわけで、色々とチーム運営で批判をされることが多かったんだけど、それでもこの実績は半端じゃない。名将と呼ぶにはふさわしすぎる実績です。
ただ、僕は落合さんの現役時代を知っているので、選手としては言ったことを実行しちゃうという、従来の長島、王のイメージを根本から変えてしまう凄い選手でした。ただ、彼の実績を見ればわかるように三冠王を3回取ったり、日本で初めて年俸が1億円を突破したという、日本プロ野球史上間違いなく名前を残す選手だったことは間違いないと思うのです。
そんな名選手だった落合さんが、コーチ経験もなく監督になり、就任1年目で優勝し、その後ずっとAクラスということで、これはやっぱり普通の人ではないし、どういう考え方をしてるのか、ずっと不思議に思っていのたですが、タイミングよくダイヤモンド社から「采配」という本を落合さんが自らが出されて、しかも30万部というベストセラーということもあり、この年末読んでみました。
この本を読んでわかった事は、あ、この人だったら監督として成功するだろうなということがわかるようなところが結構書いてあった。
まずなるほどと思ったのは、落合さんが監督して成功した原因としては、選手として下積みを知っているということもそうだけど、トップ選手としての気持ちが両方わかるということだということを書いてました。つまり、長嶋さんや王さんと違うのは、下積みを知っていることだけど、選手として実績のない監督と違うところは、トップ選手の経験もあるというところで、そういう野球指導者はいないんじゃないかということを書いてました。たしかにその通りで、この2つを経験して指導者になった人はあまりいない感じはするね。
あとは、落合さん自身が実にオーソドックスな原則を守りながら野球をしているということです。例えば、落合野球というのは、点の取られない守備の野球を目指した。これは確率から考えると、打撃は3割打てば大成功だけど、守備率は9割は当たり前だから、点を取られない野球をするということ。また、ピッチングのことはわからないから、ピッチングはすべて森ヘッドコーチに任せるということや、選手の状態は秘密事項だから、できるだけベンチ内は撮影させないといった、実にアタリマエのことを当たり前のように采配してるんですよね。あとは、不安だったら練習しろといったような、普通のことを言ってるんです。
それとほおと唸ったのは、何をやるにしても徹底しているということですかね。采配をするにしても、練習をするにしても、選手を守るにしても、全くぶれてない。これは何か確固たる信念を持ってるということですな。やはり一廉の人物という感じはしたし、実に知的だし、ああ、こういう人が監督だったら、チームは強くなるなとと言うことは分かる感じがしました。この人がベイスターズの監督になればよかったのにと思うね。面白いです、この本。