低迷する平清盛
今日の日刊スポーツを見ていたら、大河ドラマの平清盛が低視聴率にあえいでいる。なんと13%割れという実情で、これはNHKは大変なことになってるんじゃないかなと思うのです。元々当初のスタートでも17%という低視聴率で、これでは先が思いやられるますなあ。
- 篤姫の平均視聴率は、24.5%
- 天地人の平均視聴率は、21.2%
- 龍馬伝が、18.7%
- 江~姫たちの戦国~が、17.7%
- 平清盛は、遂に13%割れ
ということで、視聴者は馬鹿じゃないということなんですね。つまり、いいものと悪いものくらいの区別は十分できるということなのです。
じゃあ、これは何がこれだけ人気がないのかというと、本がつまらないということですね。大河ドラマは龍馬伝以降はオリジナル脚本なんですけど、これが結局あまりにも力不足ということだと思うね。
龍馬伝にしても、国民的英雄の坂本龍馬を使っても、視聴率が篤姫に届かなかった。あんなにひどかった天地人にも勝てなかったということは、主人公のキャラが視聴率に影響するんじゃなくて、当たり前のことだけど、中身が面白いかどうかなんです。
ちなみに龍馬伝と平清盛は見た目の作り方はけっこう似てて、
- とにかく汚い
- 登場人物は何時も怒鳴りあってる
- 空気に白い粉が混じってる
こんなかんじでしょうか。
結局話しが劇画調になって、僕の世代だったら巨人の星とか男どアホウ甲子園かな。ピッチャーが投げるたびにうおおおおおおおと叫んだり、打つ方もボールが来たら、うおおおおおおおと叫んでるみたいな、プロ野球を見ててわかるけど、ピッチャーが投げるときにうおおおおおおおとかいって投げないでしょ。でも、大河ドラマだと、何かしら大きな声を出して、叫んでる。しかも、汚い。
平清盛という人は、初めて武士による政治を始めた人物で、いかに今まで法皇や藤原摂関家の政治がいかにだめであり、国をまともに動かすためには武力が伴うということを実証させた人物。
ところが、大河ドラマの平清盛は、女房が死ぬと大きな声で大騒ぎをして、祈祷しているお坊さんを蹴っ飛ばしたり、殺そうとしたり。あとは、勝手に法皇の家に入り込んで、源義朝と乱闘をしたり、部門のトップになる人物がこんなに器が小さいのか?という印象が否めない。
しかも、ストーリーが稚拙で、話にまとまりがなくて、清盛がどういう成長をしていくかということが描かれないといけないのですが、そういうところが全く無くて、とにかく主人公一人が勝手なことをして絶叫してるだけなんですよね。これじゃあストーリーにならない。
前にもブログで書いたと思うのですが、篤姫が良かったのは宮尾登美子さんの原作が良くて、それを上手に脚本化して、しかも音楽やキャスティングが完璧で、実に面白いストーリーになったんだけど、龍馬伝以降はオリジナルの脚本。脚本家の仕事と作家の仕事は全然違うものだと思うのですが、ここ数年の大河ドラマは、オリジナル脚本にこだわっている。
ちなみに3年越しで年末に放映された坂の上の雲は、これは司馬遼太郎さんの最高傑作の一つですが、これは阿部ちゃんやモッくんが実にいい演技をして、物語に厚みがでましたけど、これは司馬さんの名作を使って、それをパフォーマーである阿部ちゃん、モックンを始め俳優陣が物の見事に表現したということだと思うのです。
作家の人から見たら、頭を絞ってたくさん取材して出来上がった作品と、脚本家が、田渕久美子みたいに勘違いして作った本とではそれは大きな差があるし、そのあたりNHKもわからないとイカンねえ。
ちなみに僕が大河にすすめる司馬作品は、河井継之助の「峠」と黒田官兵衛を書いた播磨灘物語。ぜひこちらを大河ドラマ化して欲しい。キャスティングだって、ソーシャルで決めてみたらどうですかね。面白いと思うよ。