好き嫌い
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7月8日は母の命日なので、母関連のことを書きます。母は、昭和2年生まれで、まさしく18歳の時に日本が戦争に負けたわけで、多感なときはずっと戦争でした。そういう時期なのに、僕の母は恐ろしく偏食家で、僕は今さらですが大変迷惑を被りました。
それは、母が世の中の食べ物の10%も食べられないという人でしたし、特に父が亡くなってからは、自分が食べるものしか食べないし、子供たちである我々兄弟も母が食べないものは食べないという食生活が、小学校に入るまで続きました。
小学校に入学すると、給食というものがあり、お昼はそれを児童たちは食べるわけですが、母は野菜も穀物以外は食べないので、葉っぱ系は一切食べません。僕らもそうやって育ったので、まず葉っぱを食べるということをしないといけませんでした。結局キャベツ、ほうれん草などはスープに入れてもおいしいので、給食でおいしいのスープがあったよと母に伝えて、母はできるだけ想像力を発揮して、一生懸命作ってくれました。
食べられないものはあとで小さくして食べようとするために、端っこにおいておくんだけど、子どもというのは、残酷なもので、友人とかは目ざとくそれを見つけ、どうしてそれを食べないんだよ!あ、嫌いなんだ!と大騒ぎする始末。そういう子は、常にいたので、僕は新しい食べ物が出てくると身構えるようになりました。社会人になってもそういう奴はいました。
そんな母だったので当然のことながらエビや蟹といった甲殻類は食べません。食べない人の子供である僕は当然にして口にすることすらありません。ところが学校でエビが美味しいとか蟹が美味しいとかいう話になっても僕はその話題についていけません。なので、学校でこういうことがあったと母に言うと、母は、「蟹や海老って、あれは虫だから」といい、僕は目を丸くした覚えがあります。確かに、虫って言っちゃえばそうだよね。もちろん今は大好きですよ、エビも蟹も。ただ、しゃこはだめだけどね。見た目がだめです。でも、タコやイカは食べられるんですよね。こいつらも相当見た目が悪いけどね笑
また、母は魚も焼いたものと似たものじゃないと食べなかったので、ナマは食べません。だからお刺身などもってのほかでした。ただ、お客さんとか家に来るとお寿司の出前などをするんですが、僕らもとってもらうんだけど、僕らは母と同じように生が食べられないので、お寿司を頼んでも、卵と干瓢巻きということが随分続いた。
結局お寿司に関しては、僕は大学の4年まで食べるということがなかったのです。大学4年の時は、たまたま親戚が中国に行くということがあって、彼が体調を崩したので、お前行って来いということになり、中国にいきました。これが初めての海外旅行だったというのも笑えますが。
ちなみにこの中国旅行では、本格的な中華料理も初めて食べたという貴重な体験もしたのですが、この旅行は、赤坂、麻布、青山で商店をやってる人たちのツアーに参加して、それなりにお金を持ってる人たちだったので、いわゆる大名旅行で、朝から晩までものすごい中華料理のごちそうが出ます。ただ、旅行後半になると、いい加減中華も飽きてきて、北京についたら、日本料理を食べに行こうということになりました。
僕は、そこでラーメンとか天丼、カツ丼とか食べたかったのですが、せっかくの日本料理なんだから、お寿司を食べようということになり、僕はここで初めて中国の地でお寿司というものを食べました。お寿司初体験の感想は、こんなにうまい食べ物があるのか!ということで、完璧に食べず嫌いだったわけです。今はもちろん、お魚はすごく好き。調理したものよりもお刺身のほうが好きです。
男の場合は、結局社会にでると、いろいろな人と会ってご飯を食べたり、飲んだりしないといけなくなるわけで、好き嫌いとか言ってられないんですよね。お陰様で、今は食べ物の好き嫌いはほとんどありません。
ただ、未だに直らないのが、人の好き嫌い。嫌いになると全然だめです。特にだめなのは、同じ物を毎日食べてるような人間は嫌いで、気持ち悪くてそばに寄るのも嫌ですなあ。もっと嫌いなのは、その腰巾着になって、いつも親指を立ててるような奴はもっと嫌い。ま、年も年なので、こういう性格は直らないだろうから、このままでいいと思ってる。