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昭和という国家

僕にとって司馬遼太郎さんは、神様のような人で、僕は大学の時に彼の著書を知り、それから30年弱彼の著書を読み続けている。お陰様で歴史のことは司馬さんというフィルターを通じて知ることが出来たし、そこから僕なりに歴史の解釈をすることができるようになった。

この本は、司馬さんの晩年NHKで放映されたものを文章化したものですが、昭和10年から敗戦までのことを、まるで魔法にかけられている国のようだったということを書いてます。これは、日本という国が軍部に占領され、その軍部も負けるという戦いをして、ボコボコにされ、当時少尉であった司馬遼太郎さんが、終戦時に日本はこんな馬鹿な国だったのかと思ったそうです。

司馬さんご自身は、日本はこんなだめな国ではないということを探索するべく、歴史小説を書くようになったということでしたが、それによってかつての日本には実に偉大な人たちがいたということを知ることができるというのは、実に幸せなことだと思います。

話は変わりますが、以前このブログで太平洋戦争は日本が負けて良かったということをかいたことがあります。その時にあるインターネットコミュニティで僕のことをこいつは左翼だとものすごく批判されていることを知りました。ただ、不思議な事に僕の批判している人たちは、みんな匿名なのです。ああ、なるほど、日本人にはこういう体質があるんだなということがよくわかりました。

あの戦争で批判されるべきは、或いは責任を追求されるべきは、政府及び軍部首脳であり、不幸だったのは、なんだかんだ行っても国が勝手に始めた戦争の兵隊となって、言われるがままに死んでいき、軍需工場に勤めているから、戦争に参加しているということで空爆の対象となった人々、つまり無辜の国民です。

しかも、戦争に行く事が名誉なことであるということでお国のために死ぬということが人間として最も崇高な行為であるということを、日本国民全体に啓蒙したというのがすごいことだとつくづく思うけど、結局国民の殆どが罹災にあって、惨めな思いをさせたのは、日本の国家指導者であった。さらに言えば、日本の国民は外国の軍隊から爆弾を落とされ、戦争を勝手に始めた日本の指導者や国は、誰も責任を取らされてない。

決定的に疑問なことは、勝手に人の国に侵略をして、他の国の人を使役に使ったり、殺したりすることが戦争だから許されるわけがないということはわかっているはずなのに、何故そういうことをしたのか。武器が日露戦争の当時とあまり変わらないなのに、どうして世界中を相手にして戦争を日本は始めたのかということです。

何度も書きますが、それに対して誰とも敵ではない一般市民が戦争に駆り出され、例えばその部隊が玉砕しますと大本営に報告をしたら、死ななければいけない。その死んだ代償は何かといえば、英霊として祀られるだけで、残された家族は働き手を失うために、塗炭の苦しみを味わいながら、苦労を味わうわけで、それに対して命令者はどういう責任を取ったのか。

この日本における戦争による死者は、ものすごい数だろうし、終戦直後樺太にソ連軍が攻めてきた時の恐怖、沖縄にアメリカ軍が上陸してきた恐怖というものを思うと、そういう戦争を起こした軍部、それを止められなかった政治。そしてそれを煽るだけ煽ったマスコミ。結局騙されたのは善良な市民であり、彼らが最も被害を被ったと思うのです。もちろん統計はとってないからわからないけど、日本の歴史で自国民を殺した中央政府というのは、この戦前の昭和日本だけじゃないかと僕は思ってしまうのです。

先日もNHKで特攻隊員の遺書について報道してましたが、
批判をかわすためか特攻隊員の遺書回収
この記事を見てもらえればわかりますが、実に悪辣で、当時の旧軍部関係者が責任逃れのためにやったんじゃないかということが書かれていますが、僕もその通りだと思います。しかし、人の命を粗末にしておいて、しかも責任逃れをするというのは、どういうことなのか。武士道精神はどこに行ったのということです。

命を的に相手に突っ込んでいくという攻撃というのは、西南戦争で薩摩軍がぼろぼろになって最後の手段として行われていて、どうにもならない時におこなわれるもので、戦況に影響は全くないと言うよりも退勢に向かっていくものなのです。こういう攻撃は。

それを神風特攻隊と称して、自国民に死ぬことを強いる政府が、この日本にあった事自体驚くし、その次代に青春を迎えていた昭和一桁の人たちには、僕は本当に気の毒としか言いようが無い気持ちがありますし、その時代を生きた人たちは、それ以上の気持ちがあるんだろうねと思うと、胸が焼けます。

それで、司馬さんは兵隊として栃木で終戦を迎えた時に、なんて馬鹿な国なんだろうと思ったそうですが、その失望感を推して知るべしという感じがしますよ。

そういった司馬さんの気持ちというか、怨念が詰まった本で、僕は面白く読めました。

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