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ベトナムのこと

以前からベトナムという国には興味がありました。それはベトナム戦争でどうしてあれほど小さい国がアメリカを撃退することができたのかということは、ずっと疑問をもってました。もう何年も前にプラトーンとか随分ベトナム戦争系の映画が流行ったことがありました。どの映画もアメリカよりのもので、ベトコンが余りにも悪辣に描かれていて、妙に変な印象があり、何故アメリカは負けたのかというのは、ずっと不思議でしょうがなかったのです。

ベトナムの民族衣装を纏ったドアガール

よくよくこのベトナムという国を調べてみると、日本と同じくらい歴史の古い国で、ただ、中国に隣接しているということもあり、日本以上に中国の影響を受けたし、まず常に中国に侵略されると言うところが日本とは違うところです。

司馬さんの本を読んでいると、司馬さんはベトナムの人達のことを「草木のようにおとなしい人達」と表現してるけど、僕もこの夏にはじめてベトナムに行きましたが、同じような思いを持ちました。ベトナムの人は小柄でおとなしい、優しい人々というのが僕の印象でした。

そんなおとなしい人々が第一次インドシナ戦争でフランスを追い出し、ベトナム戦争でアメリカをやっつけ、第三次インドシナ戦争では侵略してきた中国を撃退するという力がどこにあるのかと言うのがずっと疑問を持ち続けてましたし、これは快挙じゃないかと思うのです。つまり、当時は冷戦ということもあったものの、フランスを自力で追い出して、アメリカと中国を撃退して自国の独立を維持したという、大変凄いことだと思うのです。

こういうアジアの状況を歴史的に見ると、本当にこの白人というのは、ろくな事をしない。日本でも徳川幕藩体制が続いていて、のんびり暮らしていたのに、ペリーが頼んでもいないのに開国しろと乗り込んできた。このため、結局日本は近代化せざるを得なくなった。

日本とタイ以外はすべて欧米の植民地となって、アジアの人々はただ単に文明や文化が違うというだけで劣等民族とみなされて、搾取され続けました。ベトナムも王朝があるにもかかわらず、フランスが勝手に乗り込んできて、植民地化してしまいました。この帝国主義というのは、他民族への思いやりの無さを考えると、後世から批判されるべき時代といえるね。

ベトナムが変わるのは、日本が太平洋戦争で敗北してからです。もともとフランスが統治していたベトナム、当時仏印といってましたが、そこを日本が侵略したら、フランス兵はドイツにも負けていたということもあって、逃げちゃって、フランスから日本軍がベトナムを統治するようになります。ところが、日本が戦争に敗北し、ホー・チ・ミンがここが独立の潮時だという判断もあり、ベトナム8月革命がおき、ベトナム民主共和国が建国されます。

一方で日本がいなくなってから、またフランスが乗り込んできて、本当にアジアにまで来て勝手なことをしました。実にいやらしい。つまり、フランスがインドシナ半島を再支配しようと目論見、コーチシナ共和国を樹立したりして、ベトナムの分断工作をするに及んで勃発したのが第一次インドシナ戦争。これはディエン・ビエン・フーの戦いでフランスが敗北し、ジュネーブ協定によってベトナムは国際的に南北に分断されます。

ここから南北によるベトナム内戦が始まりました。これも南ベトナムがジュネーブ協定で決められていた統一選挙を破棄することなどが、ベトナム内戦の発端であり、さらにかつてのフランスや日本に取って代わろうとしていたアメリカの思惑で南ベトナムを軍事的経済的に支援したことで、内戦は泥沼化し、結果的にアメリカも参戦し、ここにベトナム戦争が始まりました。

このあたりを詳しく調べてみると、南ベトナムはアメリカの傀儡政権ということもあり、かつ、反共という立場もあり、さらに言えば、ゴ・ディン・ジェム大統領がクリスチャンということもあって、仏教と共産党を徹底的に弾圧し、そこに南ベトナム解放戦線が成立したのは、当然の成り行きだと僕は思うのです。そのゴ・ディン・ジェム大統領も軍部のクーデターで殺害され、その後も南ベトナムは各派で反発しあう、いわばいまの日本のような政治状況が続いていたようです。しかも、一分のお金があるものだけが優遇される社会であり、賄賂等がまかり通るそれはひどい国だったようです。

一方で北ベトナムにはホー・チ・ミンという清廉潔白なリーダーが「自由と独立ほど尊いものはない」とベトナム国民に呼びかけ、ベトナムとアメリカは戦争していくということになります。このように、北ベトナムは国家を統一して国民を搾取している南ベトナムから人民を開放しようという動きは、どう見ても革命側に分があるように思えるし、日本の幕末ではないけど、革命の場合は成就する方に人物がいるのです。

明治維新には、革命側に坂本龍馬とか西郷隆盛とか、桂小五郎、大久保利通といった偉大な人物がいますが、幕府側には勝海舟しかいません。勝も薩摩藩の引きがあり、明治政府に参加します。このベトナムに関しても、名前を残しているのはホー・チ・ミンをふくめて北側の人物です。革命を成就したわけですから、当然といえば当然ですが。南ベトナム側はチュー大統領という人がいたけど、僕は知らないし、ベトナム戦争を泥沼化したアメリカの大統領はジョンソン大統領で、この人も相当影が薄い。革命や歴史は敗者にはとても厳しいです。

この北ベトナムが、軍部の量という点では圧倒的なアメリカ軍を撃退してしまった。これはアメリカが邪(よこしま)な考えで南ベトナムを応援していたけれども、北ベトナムは圧政下の南ベトナム人民を開放して、国家を統一するという崇高な目的があり、2つの勢力の違いはここにあると思うし、ここにあったからこそ、北ベトナムと南ベトナム解放民族戦線が勝利したと言えると思うのです。

話はガラっと変わるけど、昔、沖縄に行った時に知り合いに米軍基地の中に入ったことがあります。中はアメリカそのもので、かなりカルチャーショックがあったのですが、一番驚いたのは食事で、いわゆるアメリカ方式でそれは食べ物に対する扱い方じゃないでしょ?というくらい、ばっ!ばっ!といった感じで食べ物をお皿に盛っていく様子は、なんて雑なんだと思ったし、食べ物もそんな様子だからはっきり言ってまずいわけです。これって人が食べるもの?という感じです。僕はこれだけで、食べ物がこんなに雑な民族がどうして世界を支配することができるのか不思議でしょうがない。

一方でベトナム料理は、とてもオリジナリティがあり、しかもおいしい。これは長い歴史の中で培われたものだと思うし、そこにその国の歴史があり、文明があるわけで、それが異文化であるということでそれを踏みにじることは絶対に許されないことで、ベトナムにおいてそれをやったフランスやアメリカが負けるのは必然的なことだと思う。

邪な思惑が崇高な思いには勝てない理由はいくらでもあって、例えば、日本が昭和に入ってから侵略国家となって、様々な国を侵略や攻撃をして世界中を敵に回したのと一緒だし、日露戦争の時に日本がかろうじてロシアに勝ち得たのは祖国防衛戦争という大義があったからです。

そういったものを自分たちで達成し、それを清廉潔白なリーダーが率いることで、無理だと思われたことが実現できるんだということを、ベトナムはそういう奇跡を実現させた、実に偉大な国民であり、国家だと僕は心から尊敬しているんです。

もちろん、まだまだ国としてベトナムはとして国民も、幼稚なところがあって、直さないといけないところはたくさんあります。バイクが異常に多すぎるとか、一方で信号が足りないとか、インターネットもまだまだというところはあるし、そういう点は力になりたいなと最近思う日々です。

こんな状況ですから、読む本はベトナム関連のみ。こういう本を読んでいると、改めてすごい歴史を歩んできたんだなとつくづく思ってしまうのです。今のところ、本については下に表示している意外にも何冊かあるのですが、人間の集団についてという本は、司馬遼太郎さんが、陥落前のサイゴンに行き、その紀行文を書いてます。これは司馬さんの巧みな筆力で歴史を交えてベトナム人とは何かということが書かれていて、いたるところに司馬さん節があって、面白い。紀行文としては1級品じゃないでしょうか。

サイゴンのいちばん長い日。これは今丁度読み始めているところですが、産経新聞の記者である著者のサイゴン陥落前夜を書いていて、これは政権が崩壊する切実なところが面白い。恐らく明治維新の時に西軍が江戸に乗り込んでくるという時は、こんな感じだったのかなと思いながら、読んでます。

最後の開高健さんの本は、まだ読んでませんが、これは日本人が書いたベトナム戦記ものでは名著だそうです。今から読むのが楽しみです。

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