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僕のベトナム考

僕は去年ベトナムのニャチャンというところに行き、非常にこの国が好きになりました。その理由は、現実的なことをいうと、基本的には我が国の不徳のいたすところがあるにせよ、やたら隣国のように攻撃的ではないというところです。実際にホテルでの教育が優れていることがあるにせよ、やはり非常に親切な人達に僕は魅せられました。


ベトナムというと、ベトナム戦争という事を抜きにしては考えられないだろうし、それが何も知らない我々にとってはマイナスイメージになっているところが正直なところだと思う。

ただ、ベトナム戦争を少し調べてみると、フランスからの独立にはじまって、対米戦争、カンボジア侵攻、中越戦争ということになると、30年近く戦い続けていたというのはすごいことだと思うのです。司馬遼太郎さんがその著書に、草木に手足が生えたようなおとなしい人々ということを書いてありましたが、まさしくその通りで、僕もベトナムに行き、例外を除き彼らから不快な思いは一度もしたことがないし、何よりも親切な人達というのが印象です。

そのおとなしい善良な人たちが30年間戦争をし続けたということに対して、驚きを感じるとともに、その戦いの後に本来の平和なベトナムが存在するのかということを考えてしまうのです。

実際にベトナムの人たちというのは、小柄です。華奢と言ってもいい。その華奢である彼らが、体格的には1.5倍以上もあるフランス人やアメリカ人を相手に戦争をすることで撃退しているというのは、なんと偉大なことかと僕は感じ入ってしまっているのです。もちろん、この戦争を指導するという点では、ホー・チ・ミンという聖人がいたということは大きいけれども、実際に戦う人は、草木のように優しい華奢なベトナム人であり、その点は戦いと言うのは体つきじゃないなというのはわかる感じがしますね。

ベトナムというのは、社会主義国であるということもあって、街中にはロシア語の看板やロシア人を見受けられます。そのロシア人の肉体的な大きさを見るにつれ、ああ、この人達はアジア人を見くびるだろうなということはわかるような感じがしました。その傲慢なロシア人を日露戦争において、撃退をしました。

ベトナムも同様で、フランス人やアメリカ人を打倒しました。アメリカ人においては、ソンミ村虐殺事件といった、非戦闘員を500人以上も殺しましたし、遡れば、日本にだって長崎や広島に原爆を投下して、どれだけ塗炭の苦しみを味わせたかと思うと、僕もいい気持ちにはなれない。白人には、自分たちと違う肌の人間に対しては、極端に言えば何をしても構わないという倫理観が僕は絶対にあると思うのです。

それは歴史を見ればわかる。黒人を奴隷にしてみたり、帝国主義時代にアジア・アフリカ諸国を席巻したこと、近現代史においては、日本には原爆を投下し膨大な非戦闘員を瞬時に殺害、ベトナム戦争では枯葉剤をまき散らして、その後のベトナム人に塗炭の苦しみを与えました。逆のことをやれば大騒ぎになるのは、それこそ日本軍の真珠湾攻撃や911を見ればわかる。

ベトナムに話を戻すと、その善良なベトナムの人たちが、自ら戦争を起こすということはまず殆ど無くて、フランスからの独立にしても、アメリカとの戦いにしても、中越戦争にしても、民族の独自性を確保するために立ち上がったという印象が強い。ちなみに日本では鎌倉時代にモンゴルが攻めてきましたが、ベトナムにも攻めてきて、彼らは見事に撃退をしているんです。だから、侵略戦争は結構慣れているというところはある。

フランスからの独立でも、要はフランス人がベトナムから搾取していたわけで、たまたま日本が太平洋戦争で負けたことをきっかけに、独立運動が起こります。それに対してフランスは独立運動側に対して嘘をついたり、実に不誠実な事をやっていて、そういうこともありベトナム国民からの支持も得られず、結局ゲリラ戦となり、ティエンビエンフーの戦いでベトナム軍が歴史的な勝利を勝ち取ります。

アメリカとの戦いでも、南ベトナムに共産党への防波堤となる傀儡政権であるゴ・ディン・ジェム政権が、貧富の格差や政権の腐敗、徹底的に人民を弾圧した。ゴ・ディン・ジェム大統領はクリスチャン何だけど、仏教徒を徹底的に弾圧したんです。ベトナムにおける仏教徒と言うのは、人口の80%。その大多数が支持する宗教を、弾圧すれば、これはどう考えても国民の心が離れる。その流れの中でホー・チ・ミンという聖人が登場して、求心力を高めるわけです。彼は、「独立と自由ほど尊いものはない」という抗米救国檄文を発表して、国民を鼓舞しました。今、世界中を探してもこれほど高尚な政治家はいません。

アメリカは民意から支や持されていない南ベトナムに肩入れをして、それが歴史的な戦いになってしまい、そこにソ連や中国が北ベトナムに肩入れをしたことで、貧乏なベトナム人に豊富な武器が無料で供与されたことで、戦争は泥沼化してしまった。

この戦争でアメリカがベトナムに敗退したのは、民意から心が離れている政権を応援したということと、それによって善良なベトナム人の民族主義ー民族を防衛しないといけないというものーを芽生えさせてしまったということ、ベトナム人が輪廻転生を本気で信じているため、死を恐れなかったということなどをあげることが出来ます。それに、アメリカがベトナム人をなめていたということも大きな要因だと思いますね。この点かつての日露戦争とよく似てます。

とにかくベトナムという国は、今のように平和になるには大変な苦難が伴ったということを我々は知っておいたほうがいいと思います。日本だって、明治政府が出来るまでに、多くの人が死んだし、大政奉還によって内戦が起きて、その上に新政府が樹立。国が安定するには、色々なことがあるんだなということだと思います。

そういう平和なベトナムを訪れて、色々と考えてしまいました。

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