2016/06/120 Shares

ヒンシュクの達人ービートたけしを読む

僕はビートたけしが好きで、最近彼の本をちょくちょく読んでます。昔、漫才ブームの時は、色々な漫才の人達が出てきて、実に面白い時だったんだけど、その時に毒舌漫才で登場したのが、ツービートで、僕は悪口ばかり言う漫才はあまり好きじゃなかったんですけどね。

ところが、たけしさんの活躍はご存知の通りで、相当レベルの高いところにいますね。彼の面白さは、そういうところにいるのを恥ずかしがって、わざと人から反感を食うようなことをいうという、得も言われぬあまのじゃくぶりを発揮しているところが彼の真骨頂です。

ヒンシュクの達人は面白い

彼の本を読むと実はかなり常識的というか、とても物事を素直に見ているということがわかり、大変勉強になります。若い人たちも訳の分かんないビジネス本を読むんだったら、この人の本を読んだほうが勉強になると思うね。今回「ヒンシュクの達人」を読みましたが、面白い。

ヒンシュクの達人 (小学館新書)
ビートたけし
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政治について

まず政治について、含蓄のある記述が何度もあります。面白いよ。

民主党がこないだの選挙(著者注:2013年参議院選挙)で、図々しくもまたマニフェストを作っているのには笑っちゃったよ。それってレバ刺しで食中毒を出した店が「今度は新鮮なレバーを出しますんで食いに来て下さい」と言ってるようなもんでさ。まったく信用できないし、「誰が食うかバカヤロー」って感じだよな。

本当にそうです。民主党はあれだけマニフェストで公約を出しておきながら、何一つ実行出来なかったというのは、今までダメな自民党政権を見てきたけど、これほどひどい政権は見たことない。

官僚と政治家について

次は官僚と政治家について

政治家にほんとうに必要なのは「官僚を使いこなす力」なんだよな。官僚を打ち負かすなんてのは、「素手でライオンやヒグマに勝つ」って言ってるもんなんで…

田中角栄さんの名物秘書だった早坂さんが田中さんの真骨頂は官僚を使うことだったということを書いてますね。田中さんが大蔵大臣に就任した時に大蔵省幹部を前で行った就任挨拶は有名です。早坂さんは、この一言で役人の心を掴んだっていいます。

私はご承知のようにし、小学校の高等部しか出ていない。しかし、世の中の経験は、多少積んでいるつもりである。まぁ、諸君は財政、金融の政治家だ。これからは、もし私に会いたいときは、いちいち上司を通して来ることは無い。こう思う、これはおかしい、これを考えてくれなんてことがあれば、遠慮せずに来てくれ。そして、国家有事の現在、諸君は思い切って仕事をしてくれ。これは局長も課長も同じだッ。私はできることはやる。できないことはやらない。事の成否はともかく、結果の責任は、全て大臣であるこの田中がとる。今日から、大臣室のドアは取っぱずす!以上

今、政治家は自分に力がないのに、威張り散らしてるだけでしょう。言われてる方は、ばーかって思ってますよ。東大まで言った人たちですから。

橋下市長について

橋下市長も、石原さんと組んだ時点で「あア、権力が欲しかっただけなのか」と国民に見透かされちまったというオチなんだよ。

橋下市長みたいにケンカばっかりふっかけて「敵対する者はぜんぶ蹴散らせ」なんてやっちゃ、そのうち息切れしちゃうのがオチなんだよ。

橋下市長と石原さんの連携について

やっぱり石原さんと組んだあたりからダメだよね。結局石原さんのノリに取り込まれている感じがする。維新の会には石原さんに平沼赳夫さん、参院には片山虎之助さんもいるんだっけか。どう見たって「古い自民党」の面々ばかりなんだからね。この人たちは、橋下市長にすり寄るんじゃなく、「日本佐幕の会」として「維新」に対抗するのがホントだと思うぜ。

橋下さんに関しては、せっかく情報発信能力があり、行動力や頭の良さという点では相当レベルの高い人だと思うし、ダメな日本の政治を何とかしてくれるんじゃないかという淡い期待があった。特に大阪都構想というのは、現実的かどうかは別にして斬新で、何かのトラブルで東京が壊滅したときに首都機能を持つ都市が国内にあるというのはいいと僕も思うのです。

ただ、橋下さんの一連の発言を見ていると、ただ単に言いたいことを言っているだけだし、石原さんとの連携にしても、たけしさんが言うように、長州の過激派の高杉や久坂と井伊直弼が手を組むようなもので、昔の自社さ連立政権と一緒で実におかしい。

東日本大震災について

また、繊細な問題ですが、東日本大震災について言葉を選びながら、なかなかのことを言ってます。

「絆」という言葉がガンガン遣われるようになったには辟易したね。

全く同感で、すごい違和感がある。

撮影を中断したオイラの映画だけじゃなくて、震災直後はとにかく自粛、自粛ってムード一辺倒だった。その代わりかどうかわかんないけど、いろんな芸能人が被災地に殺到してたよな。被災地支援のステージに炊き出し…。「僕たちには歌しかない」とか言って、よく知らない歌手までこぞって東北に行ってたもんだ。
もちろん、それは立派なことだよ。でも、あの人たちは今も被災地に通ってるんだろうか?そんな話、最近あんまり聞かなくなった。
やっぱり本当に偉いのは、誰に褒められるでもなく、テレビに取り上げられるまでもなく、今も黙って手をさしのべてる人たちだと思う。

全く正論で、あれってブームだったのかという感じがする。今でも仮設住宅に住んで自分たちの家に帰れない人がほとんどでしょう。

品性

人の品性について僕も良く最近考えるんだけど、たけしさんは凄くいいこと言っている。

口先で何を言ったって、人間ってのは自分勝手な生き物なんでさ。だから震災みたいな非常時こそ各人のエゴが現れちまう。だけど、こういう時にどう振る舞うかで人間の「品」ってものがわかるんじゃないか。
(中略)
震災直後、放射能の恐怖で世の中がパニックになってる時に、芸能界でも東京から逃げようとする人がたくさんいたよね。「たけしさんは逃げないの?」って聞いてくるヤツもいたけどさ。

いましたよね。逃げ出そうとしたやつ。特に虎ノ門とか神谷町とかでお金の勘定をしてるような人はずいぶん逃げようとしてた。僕は意地悪だから、そういう連中に一人ひとり聞いてみたいものです。はっきり言うと外資の金融の連中のことだけど笑

教育論でもみんなが思っているけど、口に出さないことを言ってますね。素晴らしい。

なんでニッポン人ってのは若いヤツラが極限状態で必死になってるのを見るのが好きなんだろう。冬の箱根駅伝だってそうじゃねえか。結局イチバン視聴率が上がるのは、選手が脱水状態でフラフラになって倒れこんじゃうアクシデントの瞬間だろ?
(中略)
結局ほとんどの人は、エアコンの効いた快適な部屋で、夏の甲子園ならヒンヤリ、冬の箱根駅伝ならポカポカの「絶対安全圏」から選手たちを見てるわけでさ。どうも卑怯な気がするんだよ。

どうして我々はキツイことをしているのを見るのが好きなんだろうって言うのはいつも思うのですよ。特に甲子園や駅伝もそうだけど、日テレの24時間テレビで売れない芸能人を一晩中走らせたり、目に障害のある女の子を遠泳させたり、僕ははっきり言って全く感動しないんだよね。たけしさんじゃないけど、我々は「絶対安全圏」で眺めてるだけだし、それを企画するTV局の陳腐さ。本当にあんなものを見て感動するのかっていつも思っているのですよ。

品性の件について、さらに

人間、自分が圧倒的に優位な立場にいるときに、相手にどう振る舞うかで品性みたいなものがわかる。「溺れた犬は叩け」じゃないけど、弱っている相手、弱い立場の相手をかさにかかっていじめるのは、とにかく下品なんだよ。

これも全く同感。最近だと去年猪瀬さんが5000万円の件でマスコミが大騒ぎしている時に、今まで友達ヅラをしていた連中が、がっかりしたとか、早く止めるべきだとか、友人として猪瀬さんを擁護するべきなのに、世間と一緒に彼を叩いた連中は、この類です。

こんな感じで、後は書きたくてもひどいシモネタもあってここでは書けないので、そこは割愛しました。ただ、そのシモネタも色々なことがわかった上で、わざとそういうことを言っているのが、たけしさんの真骨頂だとおもいました。

いわゆる「粋」ということを伊集院静とかが良く自分の著書で書いていたりするけど、それを書いたちゃった時点でもう「粋」でもなんでもない。「粋」の中の「粋」というのは、色々なことの本質が分かっていながら、ワザと不躾なことをいってるたけしさんのことを言うと思う。

僕はたけし軍団なんて、東を筆頭に誰も好きじゃないけど、あれだけの人たちがたけしさんを慕っているのは、やっぱりそういう「粋」というものが感じられるからなのかなと思う。特にその辺りがイチバンわかっているのは、水道橋博士あたりかなと思っていて、機会があったら、彼の本も読んでみようと思ってます。

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