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昨日の軍師官兵衛ー本能寺の変

昨日の軍師官兵衛は本能寺の変ということもあって、役者の気合を入れているという点でものすごく見応えがあるというところと、それはどう考えてもおかしいだろ?といういいところと悪いところが一挙に出た感じでした。

昨日の良かったシーン

良かったのは、

  • 明智光秀が「敵は本能寺にあり」というシーン
  • 信長が格闘をするシーン
  • 秀吉が信長が亡くなり、号泣するシーン

ですね。これはさすがにプロは違うなと思いました。正直に言って春風亭小朝の明智光秀はちっとも良くないと思うし、竹中直人の秀吉に新鮮味は全く無いですけれども、明智光秀にすれば、自分が天下を取るというところですから、小朝も基本的にはパフォーマーですからね。どの状況が一番大事なのかということはよくわかっているんだと思います。

また、江口洋介の信長は最初からすごくいいです。もともとかっこいい人だし、信長をやらせるのはいいと思います。本能寺で荒れ狂うところも素晴らしいかったし、これ以上勝ち目がないというところで、自らを殺すという点もよろしかったと思いますね。

そして、官兵衛から信長死すという報を受け取った秀吉が号泣するシーン。これは暑苦しい演技が上手な竹中直人は適役でしたね。このシーンは、おそらく司馬遼太郎さんの「播磨灘物語」のコピーだと思います。長いですが、ここは重要なシーンなので、引用します。
官兵衛は、だまって長谷川宗仁の書簡をさしだした。秀吉は読んだ。

顔をあげたときの秀吉は、溶けた鉛でも飲んだように目も鼻も口もへし潰れたような表情をし、息を忘れているようであった。その表情がさらに崩れ、顔をあげたまま泣きだした。(播磨灘物語4巻)

このシーンは竹中直人は見事に演じきってました。さすがでした。信長と秀吉というのは微妙な関係ではあるものの、秀吉の才能を見出して重要な仕事を秀吉に任せたのは信長の天才的な眼力であり、苦労人でもある秀吉が信長に対して親以上の気持ちを抱いていたというのは分かる感じがします。

ダメなシーン

ダメだったのが、その後の官兵衛で、まずは秀吉に対してこれであなたの天下が開けるということを喋ってしまったということ。これはふたりきりであればいいけれども、どこに耳があるかわからないし、内面的には秀吉の天下の道が開けたと言うことがあっても、表向きにおいてはそれを言っちゃうと、秀吉軍の将兵が離反する可能性があるわけです。何故ならば、ほぼ織田の天下であるこの時代を、秀吉が実力によってそれをあけっぴろげに簒奪をするということになると、倫理的な問題が生じかねず、それを聡明な官兵衛が言うわけがないのです。

播磨灘物語では司馬さんの記述を引用すると、

伝承では、このとき官兵衛は微笑し、秀吉のひざをしずかにたたき
さてさて天の加護を得させ給ひ、もはや御心の儘(まま)になりたり。
と、なぞのようなことをいった。
秀吉は不意に雷鳴をきいたように顔をあげ、とっさにその意味をさとった。もっとも秀吉としては喜色をうかべるわけにはゆかず、
「−仇討のことか」
と、別人のように目の下を紅潮させた。(播磨灘物語4巻)

とあります。ずっとこっちのほうがいい。

さらにいえば、官兵衛が安国寺恵瓊を呼んで、まだ戦っているにもかかわらず、信長の死を伝えてしまった。秀吉軍においてこんな不利なことはなくて、明智と毛利が結託すれば秀吉軍は両者に挟み撃ちされてしまい、軍団がバラバラになってしまう。軍隊の戦略としては、ぎりぎりまで毛利を騙して、早く明智と決戦をしなければいけないはずなのに、軍師ともあろうものが、平気で軍隊の中の秘中の秘をペラペラ喋るわけがないのに、そういう状況にしてしまった。

前半の明智〜信長〜秀吉のシーンが素晴らしかったのに、主人公自らが話しの重要なところをダメにしてしまったというのはすごく残念でした。

新装版 播磨灘物語(4) (講談社文庫)

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