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【書評】逆境を生き抜く名経営者、先哲の箴言―北尾吉孝

逆境を生き抜く名経営者、先哲の箴言 (朝日新書)
北尾 吉孝
朝日新聞出版
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個人的に好きな僕の好きな経営者は、伊藤忠の丹羽さん、セブンイレブンの鈴木さん、それとSBIホールディングスの北尾さん、この本の著者です。

ビジネス書というと、まず、勝間和代本田直之神田昌典が特に有名なところだと思いますし、僕も何冊か彼らの本は読みました。特に勝間さんの「Google化」と神田さんの「非常識な成功法則」は名著だと思うし、ビジネスの効率化というか技術的になにかをやる場合のTIPSの紹介は抜群に優れている。

ただ、物事にはマクロとミクロがあって、ミクロ的なところばかり見ていると大局観が失われると思うのです。また、彼らの共通しているところは、「知」というキーワード。これは正直言って、むしずが走るというか、感じの悪さが僕の中には先行してしまう。なので、細かい技術的な方法を学ぶのであれば、彼らの本は最高です。ただ、それだと全体を見失うので、大局的に書いてあるビジネス書もたまには読んだ方がいいと思います。

成功者とは、どういう事なのかというと、傍から見ればひとつは会社経営を成功させた人であるということは間違いなくて、そういう人は実践者という立場から小さい組織から大きな組織に持っていったということを考えると、このビジネス書の著者よりも、前述した丹羽さん、鈴木さん、北尾さんの考えや意見のほうが僕には十分溶け込む感じです。あとは、やはり楽天の三木谷さんとソフトバンクの孫さんはあそこまで会社を作り上げたという点で、異能というものを感じます。

北尾さんに関していうと、ライブドアの堀江さんがニッポン放送を買収するという騒ぎになったときに、ホワイトナイトとして世間に現れてきた。その主張とアクの強さは、他を圧倒するモノが有りました。そういうことがあって、僕は彼のことを前から注目をしているのですが、今回手に取った本が、「逆境を生き抜く名経営者、先哲の箴言」。

北尾さんに関していると、彼は中国古典に造詣が深くて、その辺りを全く知らない僕は、登場人物の名前を覚えるだけでも大変なのですが、彼の著書に関していると全体的に中国古典から学ぶ経営とか人間の生き方で、人間としての徳を磨いていきましょうという内容のものが多い。この本はタイトルと目次を見たときに、松下幸之助さんとか本田宗一郎とかそういった人の名前が出てきたので、人物評なのかなと思ったら、確かにそういうことも書いているのですが、この本のいいところは、第3章以降の現在の金融危機がどうして起こきて、どういう対処をしていけばいいのかということが書かれていることです。それを中国の故事から引いて、北尾さんなりの対処法が書かれていて、大変面白い。

【目次】

1章 逆境を生き抜いてきた名経営者の知恵と胆力
創業者の言葉はなぜ残るのか
松下幸之助(松下電器産業(現パナソニック)創業者
伊藤雅俊(イトーヨーカ堂創業者)
鈴木敏文(セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長、最高経営責任者)
佐伯勇(傘下170社の近鉄グループの元総帥)
林原健(林原グループ代表)
本田宗一郎(本田技研工業創業者)
小林一三(阪急電鉄、阪急東宝グループ創業者)
八尋俊邦(三井物産元会長)
稲盛和夫(京セラ創業者、名誉会長)
松永安左エ門(東邦電力元社長)
孫正義(ソフトバンク創業者)
ピーター・ドラッカー(経営学者、社会学者)

2章 歴史と先人の哲学が教える、危機への対処法
古典の言葉には「人類の叡智」が詰まっている
ヘーゲル(一八‐一九世紀、ドイツの哲学者)
曾国藩(一九世紀、中国・清朝末期の軍人、政治家)
孔子(紀元前六世紀‐五世紀、中国・春秋時代の思想家。儒教の創始者)
洪自誠(中国・明時代の思想家。「菜根譚」の著者)
「孫子」(中国・戦国時代、紀元前4世紀頃に記された兵法書)
佐藤一斎(18世紀-19世紀、江戸時代の儒学者)

3章 資本主義の危機に、一個人としてどう備えるか
(1)今回の金融危機の原因と、「一〇〇年に一度の不況」は本当か
(2)現代の資本主義が抱える問題
(3)日本の抱える問題、及び世界の覇権の行方
(4)1個人として、どのようにききに備えておくべきか

ここで面白いのは、金融の専門家として、今回の金融不況が本当に100年に1度なのか、或いはどうして米国発の金融危機が日本に波及をして、それ以上日本が不景気になってしまったのかということを分析していて、まず、金融監視体制を強化するということがまず肝要であり、日本が大打撃を受けたのは、輸出に力を入れすぎたことで、ドル安円高によって損失を広げたということを上げています。

アメリカの金融危機については、この問題が起きる前から野村證券の田渕元会長が「私の履歴書」で警鐘を鳴らしていたし、僕も日本のバブルを思いっきり被った元金融・不動産の現場にいた人間としては、大変な危惧をもっていました。

バブルの時は、仕事の出来る人がものすごく活躍します。でも、結局活躍しすぎてしまい、自滅してしまう人がほとんどです。それは自分の力量以上のことをやってしまうからで、それに潰されてしまうことが多い。僕が知っている限りでは、何人も逮捕されたし、テレビでも何度も放映されました。もちろん、失脚してしまう人も多く、これがバブルなのかどうかを見極めるのは難しい。あの当時マンションのデベロッパーはほとんど残ってないか、金融機関に吸収されてしまうかどっちかですね。そこで僕が思うには、反省を込めてですが、本業以外のことをとにかくしないことと、身の丈に合ったことを徹底する。これだと思います。

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