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岡本太郎さんのこと

今週はNHKのBSで「TAROの塔」の再放送をやってて、あまりにも話しが濃くて、しかも岡本家を演ずる役者たちのものすごい熱演にただただ圧倒されてしまった。岡本太郎を演じるのは、松尾スズキ。太郎の母、岡本かの子を演じるのは、寺島しのぶ。なかなか二人とも前衛的で凄い。

ドラマの場合、キャスティングと音楽がすごく大事で、このドラマはふたつとも成功している。松尾スズキって、初めてでしたが、大変な存在感で、よくもまあこんな人を探してきたという感じ。衝撃度的には、「ハゲタカ」の大森南朋に匹敵する。

音楽にしても、前にもののけ姫で米良美一を起用したときに、すっごい人を見つけたなと思ってきたけど、このTAROの塔は、美輪明宏さんにシャンソンを歌わせた。それはもう情念というか疲れているときには絶対に聞けない音楽で、それが心に残る。こちらはウェブでも見られますので、こちらからどうぞ。あとiTunesでもこちらから買えます。僕はしっかりゲットした。この美輪さんという人は半端じゃないですね、本当に。とにかく恐ろしく緊張感があって、制作スタッフの並々ならぬ気合を感じるドラマでした。

このドラマを見ていて、最後に僕の大好きな瀬戸内寂聴さんが出てきて太郎のことを少し語るんだけど、そういえば、瀬戸内寂聴の「奇縁まんだら」に太郎さんのことを書いてあったことを思いだした。ちなみに瀬戸内さんは、ご自身の著書で「かの子撩乱」という著書があります。瀬戸内さんの本の題材となるくらいだから、かの子という女性は相当なキャラだったろうし、それを寺島しのぶが見事に演じていた。

で、瀬戸内さんは太郎さんとお付き合いが長いんだけど、瀬戸内さんも言ってるように岡本敏子さんという秘書があって、太郎がさらに輝いた。その岡本敏子を常盤貴子が演じていて、秘書として常識人を見事に演じたと思うのです。それを具体的にどういう事があったかというと、瀬戸内さんは次のように書いてる。

天才にありがちで、太郎さんは、事務的なことは苦手で、人との交渉もうまいとはいえない。率直すぎる言動は、しばしば人に誤解され、怒らせる。例えば人が寄ってきて、さも親しそうに声をかけ、自分の友人を紹介しようとすると
「ぼくはきみを知らないよ」
と、にべもなく言う。そんな時、遠くにいても敏子さんはすっ飛んできて、太郎さんの前に立ち、
「ごめんなさいね××さん。先生もう、ここへ来るまでにウイスキーをずいぶん呑まれて、酔っ払ってるのよ。この間贈っていただいた果物ほんとに美味しかったわ。先生がほとんどみんな召し上がったんですよ」
などと、取りなすのである。そんな場面を私は数えきれないくらい見てる。

という感じで、敏子さんの偉大さが改めて納得してしまうのです。

とにかく太郎さんと敏子は信頼しあえるパートナーで、太郎さんの著作についても、太郎さんがつぶやいてるところを敏子さんがメモして、それを交渉な文章にまとめてということも瀬戸内さんの本には書かれていて、さらに作品を作るときも敏子さんが色々と助言等をしていたようで、それはドラマでも描かれていたし、瀬戸内さんの本にも書かれている。そこはすごく面白いところなので、ここも転載する。

ある日、私はそのアトリエで製作中の太郎さんを見た。
(中略)
「先生!そこの色、紫にして」
「ウォーッ」
獣のように呻いて走り戻った太郎さんは、新しい絵筆に紫の絵具をたっぷりふくませると、また仇討の士のような勢いで走っていき、紫色をキャンパスに叩きつける。
ほう、絵まで二人の合作か、と私は目を見張ってしまった。

この深い二人の絆という言葉が陳腐に思えるほど、二人の関係は濃密で、ここが人間の凄いところだということを改めて感じ入ってしまったのです。

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