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歴史と天才

九段下にある靖国神社の武道館側の鳥居から入り、本殿の方向に向かっていくと、かなり大きい大村益次郎の銅像があります。この大村益次郎という人物はあまりメジャーじゃないんだけど、実は幕末に彗星のごとく現れて、新政府軍の司令官として戊辰戦争を終結した人です。

新政府軍の司令官としては、西郷隆盛さんは、伊地知正治を起用するつもりでいたようですが、大村が実力でその仕事につき、西郷さんも人格者ですから、自分の考えよりもできる人の下で働くというとても素直な人ですからね、表面的には何も言わず大村に従ったようです。

この大村益次郎という人物は、実は武士ではありません。農民出身の医者で、しかも相当なやぶ医者だったらしい。ただ、緒方洪庵の適塾に入り、そして桂小五郎に見出されたことにより、軍人として大活躍をする、革命期にしかあらわれない大天才でもあります。ここで思うのは、桂小五郎の眼力はすごいよね。当時まだ40前後だと思うけど、この大村益次郎に司令官の天才性が宿っているということを見抜き、抜擢に次ぐ抜擢で最終的には新政府軍の司令官になります。

この新政府がどれだけ大村を評価していたかというと、戊辰戦争が終わって明治政府を樹立するのに功のあった人物に賞典禄というものを与えてますが、西郷さんが2000石、大久保利通、桂小五郎が1800石、で大村は1500です。板垣退助、小松帯刀が1000石ですからね、評価がものすごく高かったということがわかります。

大村は、戊辰戦争が終わると軍の最高責任者になり、徴兵制度に着手しますが、徴兵制度を反対する集団に暗殺されますが、死の間際に異様な予言をします。将来西から足利尊氏ごときものが現れるので、その備えをせよというものでした。その足利尊氏は誰かというと、西郷さん。結果的に西郷さんは西南戦争を起こしますが、新政府はこの時の大村の予言を信じ、大阪に大量の武器を用意し、政府軍は薩摩軍に圧勝しました。

大村の場合、桂小五郎に見出され、彗星のごとく現れ、戊辰戦争の終結という仕事を終わらせると、まるで天が大村を呼び戻すような形で、大村の生命が終わらせてしまう印象がある。こういう事例は結構あって、大村以上の天才ということだと、織田信長というすごく大きい存在があります。

信長の場合は、ボロボロになった室町時代の最後のほうで出現し、様々なものを破壊し、足利義昭を追放することで室町幕府を終了させ、ある程度革命事業がほぼ完成しようという時期に、突然の明智光秀の反乱で非業の死を遂げます。

また、坂本龍馬も同様で、僕は龍馬は天才だと思うので、真似をしようとは全く思わないのですが、龍馬の場合も、明治維新を成し遂げるために、大きな事業として薩長同盟の仲介をし、幕末ぎりぎりのところで大政奉還の建白書、五箇条の御誓文の元になる船中八策というものを作り上げると、こちらもあっさり暗殺され、天に召されてしまう。

よく歴史が人を呼ぶって言われていて、これは激動期にすごい人物が現れるんだけれども、歴史が大きく変わるときに天が人を選び出し、選ばれた人は仕事をして、何かを実現させると、また天に召されてしまうということで、天才の場合はそういうことが起きるし、それが宿命みたいな感じがするね。

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