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僕の大河ドラマ論ーその2(峠)

僕が大河ドラマにはまったのは、なんといっても篤姫。もう5年くらい前の作品ですが、ストーリー、音楽、キャスティングといい完璧でした。前に宮崎あおいちゃんが、篤姫を演じていると、自分の中に篤姫が入り込んでくるんですとインタビューで答えてましたが、すごい役者になるとそこまで自分を持って行くんでしょうね。

実際にこのドラマがきっかけで宮崎あおいちゃんは、若手女優ではかなり違うステージに到着したし、この時の徳川家定の好演で堺雅人くんは完璧に主役クラスになった。ただ、一方でこの脚本を書いた田渕久美子が大物気取りをするようになり、結局江~姫たちの戦国~はメタメタになってしまいました。

で、前回も書きましたが、こういうスケールの大きいドラマは、あたりまえのことなんだけど、ストーリーが大事なわけで、自己満足のような画面描写は不要なのです。なので、多くの人が見るということから考えても、しっかりした原作を利用するべきで、オリジナルの脚本は、ここずっと見てきたけど、無理。それに3年越しで坂の上の雲を見ましたけど、やっぱりストーリーの重量感が違ってました。

それで僕は司馬さんしか知らないので、まだドラマ化されていないものでも名作をあるので、それをやってみたらどうかと思います。その一つで「峠」という作品があります。これはぜひやってほしいなあ。この作品は幕末の長岡藩の執政(筆頭家老)であった河井継之助のことを書いてます。

この河井継之助、地元の新潟でもあまり知られてないようなんですが、河井継之助で検索をしてみると、23万件も検索結果となります。すごいねえ。

河井という人は、長岡藩という小さな藩で生まれ育ち、本来家老になれる身分ではなかったのですが、幕末という変動期ということもあって、筆頭家老となり、獅子奮迅の働きをする人物です。ただ、彼が悲劇的なのは、まず長岡藩という藩の成り立ちが、譜代大名であったということと、7万石という小藩であったということと、河井自身がこれで武士の時代が終わるということが見え過ぎていたということでした。

また、幕末に徳川慶喜が朝廷に大政奉還をした後は、日本中が薩長を中心とした官軍と旧幕府軍に真っ二つになり、それが戊辰戦争となって約2年ほど日本国内は内乱状態になるのですが、この時長岡藩執政のドイツ人武器商スネルと組み、武装中立という立場をとります。当時日本国内は敵味方に別れていて、第3者の立場を取るというのは実に難しい所なのですが、そこは長岡藩牧野家が譜代であるということが、河井の足かせになり、容易に官軍になびきれなかったというのも悲劇的だったと言えます。ちなみに譜代大名でも大老を唯一出すことのできる井伊家は、しっかり官軍の味方になります。この井伊家は安政の大獄を推進した井伊直弼の藩でもあります。

戊辰戦争時には、官軍との談判がうまく行かず、これは小千谷談判という有名な談判ですが、長岡に乗り込んできた土佐の若造が官軍という権威を盾に、長岡藩筆頭家老の河井に無理を突きつけたことで、談判がだめになり、結局長岡藩は奥羽列藩同盟に加入し、結局官軍と対決をします。これは北越戦争といい、戊辰戦争でももっと激しい戦いとなりました。

それは河井が武士の時代は終わり、実力で武装中立をするために前述のスネルと組み、最新の武器を装備しており、更に河井の類まれなリーダーシップで率いられた長岡藩は実に強力で、山県有朋率いる官軍は何度も敗走させました。しかし、河井自身が流れ弾を被弾し、それによって長岡藩軍の士気も落ち、長岡城が陥落、そして河井もその傷が元で亡くなります。

その死に際でも、自分の郎党に対して火葬を命じます。そこは本文のほうがよく書かれているので、引用します。

「いますぐ、棺の支度をせよ。焼くための薪を積みあげよ」と命じた。
松蔵はおどろき、泣きながら希みはお待ちくだされとわめいたが、継之助はいつものこの男にもどり、するどく一喝した。
「主命である。おれがここで見ている」
松蔵はやむなくこの矢沢家の庭さきを借り、継之助の監視のもとに棺をつくらざるをえなくなった。
松蔵は作業する足もとで、明かりのための火を燃やしている。薪にしめりけをふくんでいるのか、闇に重い煙がしらじらとあがり、風はなかった。
「松蔵、火を熾(さか)んにせよ」と、継之助は一度だけ、声をもらした。そのあと目を据え、やがて自分を焼くであろう闇の中の火を見つめつづけた。
夜半、風がおこった。
8月16日午後8時、死去。

これがどこまで本当かどうか知りませんが、それでも自分の家来に火葬の用意をさせるというのは尋常じゃないです。

ただ、戦後、継之助の墓石は長岡を荒廃させた張本人として継之助を恨む者たちによって、何度も倒された。このように、戦争責任者として継之助を非難する言動は継之助の人物を賞賛する声がある一方で、明治以後、現在に至るまで続いているんだそうです。

あまりやり過ぎると賛成者が多い一方反対者も多いわけで、このあたりは微妙なところですね。ちなみに司馬さんに言わせると、長岡藩は河井にとってはあまりにも小さすぎたし、人物としても桂小五郎よりも上だったと評価しています。

とにかくこの峠という本で、今まで無名だった河井継之助をメジャーにしたことは確かで、人物の発掘力は実に素晴らしいし、発掘されるにはふさわしい能力を河井が持っていたことだと思います。こういう歴史に埋もれた人物を是非大河ドラマに使って欲しいと思うのです。

じゃあ、誰が河井継之助を演じるといいかなと思ってたんだけど、堤真一とかいいかな。後は、香川照之もいいかも。峠では、河井継之助の奥さんが結構ぼーっとしていていい味を出してるので、としはいってるけど、麻生祐未ちゃんとかいいかなと勝手に好きな事をいっております。

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