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売らんがためのタイトル

フェイスブックで僕がフィードを購読しているある編集者がいて、その人がこの記事は素晴らしいということだったので、読んでみたら、これが日本のビジネス雑誌の最高峰の編集長が書いた記事なのかと、僕は今さらながらびっくりしてしまったのです。

で、件の記事は「ジェフ・ベゾスは羊羹を知らない」という記事で、この記事のタイトルの意味わからないでしょ?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/NBD/20120217/227301/?ST=pc

このジェフ・ベゾスという人は、AmazonのCEOで、日本に来日した時に日経ビジネスの編集長が羊羹持って行き、ジェフ・ベゾスがこれがどういう意味かと聞かれ、日本のとらやの羊羹は日本の文化であり、その日本を攻めようとしている会社の社長が、とらやの羊羹を知らないのかと、冒頭で挑戦しているのです。普通のビジネスではありえないコミュニケーションです。

この記事は、Amazonと楽天を比較している記事なんだけど、Amazonは楽天に日本では勝ててないという、実にインターネットというワールドワイドなマーケットであるにもかかわらず、実に狭いフィールドの議論を展開している。

しかも、Amazonと楽天の比較というのは、不動産で言えば売買専門の会社と賃貸専門の会社を比較して、どっちが売上が上がっている?って言っているのと一緒で、最初から比較すること自体が間違っているし、記事を読んでいるとAmazonに対して厳しい味方をしている。最初から公平性がないのです。

Amazonと楽天の違いというのは簡単で、Amazonは基本的には自社で販売をして、自分たちで配送している。だから、Amazonが販売しているものは、例えばテレビと雑誌と飲み物を同時に買ったとしたら、在庫が同時期にあればまとめて配送してくれます。

ところが楽天の場合は、オンラインショップが集合して出来上がっているサイトなので、商品をA店と、B店、C店で買えば、それぞれに送料を払わないといけないし、A店が北海道にあり、B店とC店が本州にあるとすれば、A店の品物が到着するのは二日後、B、C店は翌日ということで、このあたりも不便といえば不便。しかも、3つの店舗にそれぞれ送料が発生するので、シンプルというのがインターネットの特徴から見ると、Amazonは実に象徴的だし、ネットビジネスという点では、僕はAmazonの方が楽天よりも革新的だと思っています。

それは、自社でキンドルという電子辞書リーダーを開発して、本の価格を安くしているということや、後は送料を無料にしているということなどもそうです。また、ユーザービリティという観点からみると、オンラインショッピングのポータルサイトにおいては、よく考えられたサイトのレイアウトをしていて、同じ性格の楽天は色々なことを詰め込んでいるので、目が分散しちゃう可能性も高い。

ところで、この記事に話を戻すと、この編集長、ジェフ・ベゾスにしっかり足元を救われちゃってる。引用するね。

ベゾスCEOは羊羹を手にして筆者の問いに苦笑してこう応えました。「ヨーカンを知らなかったことは勉強不足だったよ。さっそく食べてみる。でも、僕の仕事は戦略を考えること。ヨーカンを知らなくても取るべき戦略は考えられる」。そこから反撃が始まりました。「じゃあ、今度は僕が君に質問する番だ。アマゾンって何の会社か知ってる?」。質問の意味が分からないほど単純な質問でした。「書籍などをインターネットで販売するEC企業ですよね」と筆者。ベゾスCEOは舌をぺろりと出して笑いながら言いました。「残念。不合格だね。アマゾンは『世界で最も顧客の立場に立った会社』なんだよ。たまたまその手段が今、インターネットなだけ。書籍だけを売るつもりもない。最先端の技術と発想で、顧客の体験を豊かで快適にするのがアマゾンのミッションなんだ」。

こんな感じで返り討ちにあってる。だめ編集長です。

僕はこの記事を読んで思ったのは、記者は文学的な要素は全く不要。これは逆に誤解を招くし、反感も招く。打ち合わせの時に、こんな挑戦的な態度って普通取らないし、おそらくこの編集長も話を面白くするために書いてあるんだろうと僕は思うけれども、それは記者としては失格だと思うね。それは、記者は事実を忠実に報道するべきだし、そこに主観的な意見を入れてしまうと、読む人を誤らせるおそれがある。そもそも事実を伝える記者が、フィクションに走っちゃってる。

テレビのニュースでNHKが最も安定しているのは、基本的に事実を報道するというスタンスがあるから。これがテレ朝の報道ステーションの古館のように自分の意見を言っちゃう報道の仕方は、ニュースにフィルターが掛かってしまうので、報道のあり方とは違うものです。おそらく古館は、報道は批判精神が必要だと勘違いしているようで、本来ニュースに恣意的なものが含まれてはいけない。こういう事情だから、僕は読売や産経は読まないようにしているのです。

また、記事のタイトルいついても、いまどきの本がそうですが、訳の分からないタイトルで読者を釣る方法。これも、僕はダメだと思うのです。タイトルを奇抜にすることで読者の関心を引くというのは、僕は詐欺に近いと思うね。ずるいやり方だと思う。よく出版コンサルタントがタイトルは重要だというけど、読む側を釣る目的で決めるのはいかがなものかとぼくは思うのです。

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